すべてが猫になる

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トレジャー・キャッスル  (ねこ3.6匹)

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菊地秀行著。講談社ミステリーランド

「おれ」は喧嘩の達人・中学三年生。今日の決闘の舞台は、おれが住んでいるSM市にあるSM城趾。相手は金で雇われたプロの“喧嘩屋”ということで少々分が悪い。てなわけで、おれは早々に退散し武器蔵に逃げ込んだ。と、そこに見たことのある面々が…。イケメン丹野、文学少年能登、美少女の冬美。みな同級生だ。能登が口を開いた。「僕はこの城の何処かに今も眠ってる宝を探してるんだ。」一攫千金を夢見て、おれたちは一緒に宝探しをすることになったのだが…。何者かの襲撃、そして―怪物!?どうやらこの城には歴史の裏に隠された、いわくありげな秘密がありそうだ。本当に宝はあるのだろうか?おれたちは宝を手に入れることができるのか。 (あらすじ引用)


楽しみにしていた菊地秀行さんのミステリーランド。わくわくのそのジャンルは少年少女冒険活劇、ということで、ページ数も400ページと過去最高(たぶん)です。字数は少ないと思うけどね^^;

キャラクター設定にまず注目。メインとなる少年少女4人の性格や体格が個々に分かれていていい感じ。性格のいいジャイアン、顔のいいスネ夫、勉強のできるのび太、ませすぎたしずかちゃん、という感じでしょうか^^;主人公だけ名前は公表してないのかな。わざと消しているくだりがあったりして。この主人公の「おれ」はただ不良で喧嘩が強いというだけではなく、父が有名な柔道家、祖母がなにやら武道の達人のようで。「影夢流古武道」と「講道館柔道」という総合武道をやっているという設定です。彼は柔道をやって行く気はないようですが、果てさてどうなるんでしょうね、未来は^^
イケメン丹野もなかなかキャラ立ってます。この歳で次々と女を泣かせてる、ってどうよ。。性格もあまり良くないので、どう成長するのかと思いきや実はあまり変わってないです(笑)。
能登君が物語のキーを握っているのですが、いかんせん存在が地味。背負っているものは一番でかいはずなんですが。。冬美は、丹野とちょっとキャラがかぶっていたのでまあ、普通。

さて、SM市の鞭丸という凄い名前の若殿が出て来ます。イラスト入りなので、乞うご期待。かなりイってます。1801年の五代目城主の倅ということで、かなりの悪ガキだったというわけで。そんなこんなで4人の宝探しが始まるのですが、からくりだの怪物だの、かなり盛り上がって行きます。彼らが知恵と体力で、本当に子供だけの力で困難に立ち向かって行くのがいいですね。エンディングではちょっとした”ホロリ話”も出て来たりして。


総合的になかなか面白かったのですが、不満も残りました。無難にいい感じにまとめたなあ、という印象というか。冒険の後の結果については、大人が関わった方がいいと個人的には思いましたし、ちょこちょこ出て来たサブキャラにももう少しラストに何か生かせるエピソードが欲しかった。後日談だけじゃなくてね。