すべてが猫になる

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月光  (ねこ3.7匹)

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誉田哲也著。徳間文庫。

お姉ちゃんが死んだ。誰からも愛された人。優しく美しく、真っ白だった人。同級生のバイクによる不運な事故?違う、お姉ちゃんは殺されたんだ―。姉と同じ高校に入り、一人の教師の協力を得て真相を探り始めた妹結花。そこには覗いてはならなかった姉の秘密が―。学園にピアノ・ソナタ「月光」が流れるとき、教師と生徒の心が狂う。 (裏表紙引用)


なんだかんだ言って順調に読破への道を歩み進めております、誉田さん。
本書は警察小説でも剣道小説でもなく、普通のサスペンス&ミステリー小説でございました。うん、やっぱり普通がいいよ^^読ませる面白さは充分お持ちの作家さんなのだから、こういう万人受けの題材を使えば成功しないはずはない、ってなもんで。ただ、青春ミステリーとは言いづらかったな。こんな1000人に1人しか経験しない物語を、青春ものの筆頭には挙げられぬ。

主人公・野々村結花の愛する自慢の姉がその同級生の運転するバイクに撥ねられ、死亡してしまう。事故で片付けられた事に納得の行かない結花は、姉の在籍していた高校に進学し、姉が所属していた写真部に入部し、独自で調査を始める。そこで意外な接点があったのが、音楽教師の羽村だった。。というお話。語り手は、その三人となります。その内の加害者の少年・菅井はかなりの不良なので、言葉遣いがかなり汚くてイライラさせられますねー^^;頭で考える事と、それを実行する事の壁の厚さというのを痛感させられます。一応成長物語の側面があるので、変わって行く者と堕ちて行く者とに分かれ、何が違ったせいでそうなったのか?に注目してみるのもいいかもしれません。
実際にはこんな内面の変化は現実的ではないのかもしれませんが、物語に感動を与えているのは間違いなくそこですから、こういうのがプロの仕事なのだなあ、と勝手に感心したりもして。だけど、普通にどこにでもあるミステリーかと言うと、きっとそれは違うのです。

事件の真相には意外性もあり、良かったと思います。事件そのものは本当に胸が悪くなるようなものなので、そこは評価の分かれ目とも言えるかもしれませんが。
さくっと読めますので、良かったらおためしを。