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不思議の国の悪意/Malice in Wonderland (ねこ3.8匹)

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ルーファス・キング著。創元推理文庫

アリスがまだ魔女や妖精を信じる幼い少女だったころ、親友のエルシーが突然姿を消した。彼女の行方も誘拐犯の正体も分からぬまま、事件は迷宮入りとなる。それから十年、封じられていた魔法が今、アリスを事件の真相へと導くのだった。運命的な暗合の連鎖が不思議な世界を作り出す、傑作「不思議の国の悪意」他七編を収録。かのエラリー・クイーンも絶賛した、才気溢れる短編集。(裏表紙引用)


先日読んだ長編がかなり気に入ったので、こちらも早々と読んでみました。ちょっと不思議系の短編集っぽい雰囲気かな、と思いましたがなかなか一筋縄ではいかない作品揃いで。
では、感想~。

『不思議の国の悪意』
これはこの作品集の中ではトップクラスに面白い不思議な作品でしたね。魔女に手渡されたクラッカーの中身が最後まで気になります。意外とサスペンスタッチでした。

『マイアミプレスの特ダネ』
誘拐ものが続きますが、一編目とは全く趣向の違う作品。こちらもサスペンスですが、恋愛要素が絡んでいて、この変わった誘拐劇にエッセンスを加えている作品でした。ちょっとラスト苦笑してしまいますね^^

『淵の死体』
おおお!個人的には一番オチに拍手をしてしまった作品です。ちょっとおどろおどろしい雰囲気ですねえ。ある犯罪を扱ったものなんですが、ラストの意外性が見事。こういうの好きだなー^^

『思い出のために』
夫を次々と殺す妻を追い詰めるお話です。このお話もいいですね!悪は必ず滅びる。。しかし、どのようにして読者と犯罪者をぎゃふんと言わせるかは思いつき次第。揺らぎのない、スカッとする展開です。

『死にたいやつは死なせろ』
突然物騒なタイトルになってしまいましたが、やはり作風も唐突にチェンジ。こちらは中編となっていて、ハードボイルド風のミステリーです。こういうのの方が、「不変の神の事件」に近いのかな?

『承認せよーーさもなくば、死ね』
タイトル怖いよぅ^^;
ホテル王が、四種類の拳銃で殺されるという事件を扱った作品。正直、トリックとは言えないくらいカクッとなる真相なのですが、これはこれで不思議じみていて好きです。

『ロックピットの死体』
異色作という事ですが、表題作のイメージからほど遠い作品とは言えないでしょうね。複数の人間の殺意の的になる人生ってヤダなあ^^;

『黄泉の川の霊薬』
いいですねえ、悪女もの。ルーファス・キングの作品は、悪人が制裁を受けるのに容赦なし、という感じがしますね。


以上。
おもろかったです^^ハズレっぽいハズレはなかったんじゃないかな。好みで言えば、あの中編はいらなかったけど(笑)。あれで結構統一性が失われた感じがする。。
とは言え、やはり作風は好みのものばっかりでした。斬新でもなんでもないんだけど、センスを感じるというか。読みやすいのも長所ですしね。
ああ、他のも読みたいよぅ。。「青髭の妻」は府立にもなかったし、古本検索したら相場が5千円でした(><、)。。