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赤い館の秘密/The Red House Mystery (ねこ3.6匹)

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A・A・ミルン著。創元推理文庫

「熊のプーさん」で有名な劇作家ミルンが書いた唯一の推理長編。だが、この一作でミルンの名はミステリ史上に残ることになった。暑い夏の昼さがり、十五年ぶりに赤い館を訪れたオーストラリア帰りの兄が殺され、館の主人は失踪してしまう。無類のユーモアをもって描かれる二人の素人探偵の活躍。結末に待ち受ける巧妙なトリック。キャビアの味と評される、ユニークな名作である。(裏表紙引用)


なかなか面白いミステリ作品が続きます、ゆきあや版翻訳もの積読の旅。
こちらの作品はかなり有名なので期待しておりました。ここ数年に読んで来た翻訳ものにも多いユーモアタイプの作品ということで、その中でも楽しめるものが多かったですから。

本作は、想像していた程”笑い”の要素があるわけではありません。雰囲気が表紙のように優しげな事と、コミカルな会話が続く事をユーモアとするならその通りかもしれませんが。
今回登場するのは素人探偵です。この事件でいきなり探偵になろう、と職業を決めてしまうのが凄い。そして、ワトスン役を友人に配してまるでお遊びのように推理を繰り広げて行くのです。時には足を使い、演技も駆使し、なかなか活動的な探偵です。
しかし、他の登場人物が何故か殺人現場から離れてしまい、全くと言っていいほど登場いたしません。。刑事らしい刑事もちょこっと出て来るだけですし、館の主人は行方不明だし、目立っているのは主人のいとこのケイリーぐらい。そういうわけで、ほとんど全編が探偵のギリンガムと助手役のベヴリーの会話で成り立っているという。。すいません、正直ちょっと退屈になって来ました。。ギリンガムもベヴリーもなかなか魅力的ではあるのですが。
ある意味、徹底した本格ミステリという事になるのでしょうね。

さておき、トリックには大拍手ですね。古い作品ながら、まだこういう手を自分は知らなかったな、と
思わされてしまうというか。実際、現実的には上手く行くはずがない稚拙さがあるのですが、パズルゲームとして考えて楽しむ事も可能では。だって、普通におかしいな、とか日本人には理解出来ないよな、って思う点がちょこちょこあるんだもん。。徐々に明かされていく謎解きのなるほど感が薄いかも。頭で理解しようと努める感じ。
だからこういうレベルのものを国内もので読みたいよね~。とか^^