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1/2の騎士 ~harujion~  (ねこ4.1匹)

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初野晴著。講談社ノベルス

母を亡くし、心に傷を抱える女子○生・マドカが恋に落ちた相手ーーそれは最強の騎士『サファイア』。ふたりの出会いは、忍び寄る狂気ーー社会の片隅でひっそりと息づく異常犯罪者たちから大切な人、そして愛する街を守るための戦いのはじまりだった。大人への道標にいる、いまだ”不完全”な彼女たちを待ち受ける、苛酷な運命とは……。透明感ある文章で紡ぎ出すファンタジックミステリー。(裏表紙引用)


この本の表紙に惹かれて発売されてすぐ予約したのですが、予感的中大当たりでした。萌え系のようで萌え系でない、ファンタジーのようでファンタジーでない、ちょっと変わった青春ミステリー。この作家さんはかなりの実力派かもしれません。こういう系統の作家さんで必ずと言って良いほど見られる西尾維新的文章もあまりなく、あくまでキャラの魅力と奇抜な設定だけで勝負。ユーモア的な要素も伺え楽しめます。どういうお話かを掴むまでには若干時間がかかりますが、プロローグ以降マドカとサファイアが手を合わせて彼らの住む街に起こる異常事態に立ち向かうそれぞれの事件がよく練られており、
まるで連作中編集のような重みが。サブキャラのゴリラ、キリンなどという大人の協力者との心の疎通も飾り気がなく自然、マドカ所属するアーチェリー部の加奈子や鈴といった友人達とのこれまでの心の繋がりさえ丁寧に描かれ、サファイアという”異常”で派手なキャラクターのワンマンショーという感じも全くしません。逆に言えば、事件の方に力が入りすぎているかも。個人的には、サファイアをもっともっと前に打ち出して欲しかったのだけど。メインはもちろんそこなのだけど、前章のほうをかなり気に入って読んだので長い長い事件たちがじれったく感じたり感じなかったり。。

しかし、その疲れを打ち消すほどの感動的なエンディングが待ち受けていました。哀しみを乗り越えたその先にある希望ほど人の胸を打つものはありません。

作品としてはかなり満足度は高し。ちょっとお腹いっぱいになったので^^;次読むとしたらまた違う雰囲気のものがいいな。