すべてが猫になる

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ぼくらの時代  (ねこ3.7匹)

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栗本薫著。講談社文庫。

栗本薫は22歳、某マンモス私大の3年生。アルバイト先のTV局内で発生した女子○生連続殺人事件を、ロック・バンド仲間の信とヤスヒコと解決しようと挑むーー。当時の若者たちの感覚や思考を背景に、凝った構成と若々しい文体によって、シラケ世代とミーハー族の心の断面をえぐった江戸川乱歩賞受賞作。(裏表紙引用)


<新装版>を読みました^^。
栗本さんを色々読んでみよう(なんとかサーガ以外)と思って買ったのですが、乱歩賞作品だったのですねー。なるほど、いかにも乱歩賞。個性と文章力の高さ(読みやすいから)とドラマ性に満ち満ちています。不覚にもわたくしグッと来てしまいましたよ。ゆきあやが光ゲンジとかに夢中になって青春を謳歌していた頃よりは10年くらい前の世代ですね,多分。作者と世代が一緒なら別の読み方も出来たかと思いますが、とにかく古くさい。アイドルの”あい君”の造詣とかは、トシちゃんとかマッチの時代とあまり変わらない気がするのでピンとは来ます。が、薫たち主人公3人組の言葉遣いが。。「キザ」を「ザーキ」と言ったり「譜面」を「メンフ」と言ったりかなりキテます^^;特に、信が語尾に必ず「ョ」を付けるのが痒すぎます。。。ぁぁぁぁ^^;

と、やばいやばいと思いながら読みつつも、信と大人達の”ぼくらの世代、大人の世代”議論などはなかなかに熱く、この頃は今よりもたくさんの事を無駄に考えていたよなあ、と微笑ましく見つめるようになってしまいました。そもそも、タイトルの通り、この痒い世代ってたしかに存在したんですよね。それをリアルに肌で感じられるからこそ凄いわけで。痒くなきゃ嘘だなあ、てなもんで。
そう思うと、事件の真相にまつわる部分もただ”理解出来ない”と思ってちゃ作品の狙いを理解してないって事になるかもしれない。この設定が持つすごい武器だなあと感心してしまった次第。本来ならミステリ的にはそれほど反応しないはずだもの。