すべてが猫になる

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百瀬、こっちを向いて。  (ねこ3.9匹)

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中田永一著。祥伝社

市川拓司氏絶賛!
「ささやかな人生に訪れた、奇跡のような輝き。これを読んだら絶対恋したくなる。」
恋愛アンソロジー「I LOVE YOU」などで読書界を騒然とさせた話題の大型新人、初めての恋愛小説集。(出版社紹介文引用)


おいらが国内でベスト3に入るぐらい大好きな大好きなアノ作家さんの別名義作品だというので、慌てて買いに行って来ました!本屋ではポップに堂々と正体が書かれていたし、検索したら多分まるわかりだと思うのですが、、一応伏せておきます。

4編収録の短編集です。ちなみに帯の推薦文は藤井フミヤさんです^^;
では、感想を。

『百瀬、こっちを向いて。』
人間レベルの低い”僕”は、先輩の頼みで彼の浮気相手と交際しているフリをすることになったが。。
いかにも○○さん、という感じです。作者名伏せられても多分、誰の文体かわかる^^;。表現の一つ一つが自虐的でそれでも独特のセンスがあって、せつなさ全開。趣味の悪いお話なので、紹介文の言うピュアなラブストーリーかというと首を傾げますが。

『なみうちぎわ』
五年間ある事情で意識を失っていた高校生の姫子。彼女が目覚めると、かつて家庭教師をしていた少年が大人びて姿を現す。。
これも、純愛の姿を借りて実は残酷で救いがないお話です。これをピュアな青春小説と捉えていいのか?^^;個人的には表題作と並んでお気に入りになりました。

『キャベツ畑に彼の声』
作家のエッセイのテープ起こしのアルバイトを頼まれた久里子は、その声が身近な人間のものだと気付いて。。。
最初は「こういうこともあるもんだー」と楽しく微笑ましく読んでいましたが、オチがやるせないです。。。むなしくなるというか、久里子の気持ちさえ錯覚に思えてしまって。。こう終わらせるのか?と腑に落ちないものが。

『小梅が通る』
かつてモデルをしていた美少女は、あるトラウマからブスメイクを覚え始めた。。。
恐らく一番人気のある作品でしょうね。ピュアで奇跡という表現にぴったりです。柚木の気持ちもいかにもこの世代の少女らしいですし、前向きで恥ずかしくて感動的でした。個人的には前半の2作の方が好みなんですけども。



何が凄いって、この4編を通して読むと、悪い意味でなくてどれもこの世代の男性が書いたもののようにリアル。間違いなくどれも恋愛小説なのですが、このちょっとズレた感覚、やっぱり元々好きだなあ。ゆきあや同等にファンの方なら間違いなく気に入っていただけるのでは。
べるさん、よもさん、いかが?^^(ヒント)