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ストロベリーナイト  (ねこ4匹)

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誉田哲也著。光文社文庫

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された!警視庁捜査一課の警部補・姫川令子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。人気シリーズ、待望の文庫化始動!(裏表紙引用)



先日誉田さんの最新刊文庫『ジウ』をアップされたあまりすさんに「でも『ストロベリーナイト』はグロいですよ」と助言されつつ、ずっと気になっていた本書に挑戦。いやあ、のっけからびびりました。

『目をえぐられた女 切り裂かれるその喉元 噴き出す鮮血
        ーーーあなたは これを 生で 見たい ですか』

いいえ(笑)^^;;;;
そして、第一章。いきなりグロい虐待&虐殺シーンが繰り広げられます^^;今までかなり色々なグロい内容に触れて来たわたくしでもさすがに今回はめげました。さらに、主人公である姫川令子が登場してからもまずそのキャラクターに脱力。20代後半で警部補に昇進、数人の部下を従え、長身で美形というルックスをこれでもかこれでもかと言う程アピールして来ます^^;彼女に惚れている部下も二人いて、私は偉いのよ!私は女性でこの役職なのよ!!と内心で豪語し、性的フェロモンも出しまくり。
まるで嫌われるために作ったようなキャラクターです。周りの刑事たちも、威張りかえっているか情けないかどっちかのタイプなんですよね。。
こりゃどうも受け付けられないタイプの小説だぞ、と引きながら読むという出だしでしたが、そこからまた意外にも雰囲気が変わって来ます。姫川さんの持ち前のカンの良さで次々と衝撃の事実が判明、そして新たな謎が出現。さらには部下や上司の刑事たちも活躍し始め、謎のサイト「ストロベリーナイト」が浮上してからはまたしても冒頭のグロく怪しげな雰囲気が復活。あれよあれよと怒濤の展開を見せ、若干ベタながらも派手なエンディングを迎えます。

途中からは読む手が止まらず、あれほど不快だった姫川さんのキャラクターが好感に変わり、個性を出し始めた部下達の熱意と人間味に夢中になってしまいました。特に、中盤の姫川さんの過去を描いた章では感動すら覚えます。姫川さんがどうして刑事という職業を選んだか、それを知るに至ってはなおさらです。エンディングよりもこのシーンの方が印象的でした。
好きな系統ではないながらも、テーマの重さとキャラクターの軽さのギャップがツボに入ってしまったようです。是非文庫で集めたくなったシリーズですね。とりあえず、先に文庫になった別シリーズの『ジウ』が楽しみになりました^^