すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ペガサスと一角獣薬局  (ねこ4匹)

イメージ 1

柄刀一著。光文社。

ユニコーン。ペガサス。ドラゴン。永遠の命と再生する館。伝説に秘められているのは、祈りかそれとも禍か。“世界の伝説と奇観”を取材するフリーカメラマンの南美希風が挑む、奇跡としか呼びようのない難事件。壮大にして奇想天外、柄刀一の真骨頂。 (あらすじ引用)


うひょ~~、うひょひょ~~~、これ大好きです~~~~~~!!(ノ^^)ノ☆
西欧、北欧の山荘や片田舎を舞台に日本人カメラマンが摩訶不思議で奇怪な事件を解決して行くというなかなか見られない設定なのですが、柄刀さんなら”らしい”のかな?(おっと、そういえば柄刀さんはすべ猫初登場だ)最初は読みにくさを感じてしまいましたが、一編目の「龍の淵」を読んでからは一気にこの世界に入り込めました。これこれ!これですよ!島田荘司以外の作家がやったら失敗しそうなぶん回しトリック、二階堂黎人の向こうを張る怪奇現象の連続に驚きと感激で目が眩みそうです。ダジャレを言う刑事も映画蘊蓄も恋愛要素ももういらない!!ミステリとして弱いけどキャラがいいとか、最後に驚きの叙述トリックとかリンクなんかまったく必要な~~~~~し!!!

特に好きだったのが『光る棺の中の白骨』ですね。物語の発端からして摩訶不思議。5年前に無人のままドアを溶接したハズの小屋から白骨死体が発見!目撃者多数の中、美希風はどういう推理を展開するのか!?彼の友人である高部の悲恋と交わって、ドラマ性も高し。トリック的には非現実的ですが、それを上回る理論の美しさがあります。

表題作の『ペガサスと一角獣薬局』も傑作。
凄いよ、お城とか子爵とか出て来るわよ^^薬局のおばあさんと孫娘の存在感も高いし、物語的にも雰囲気と設定だけでわくわく。この村にはペガサスとユニコーンが実在するという噂が。その写真を撮りに来た美希風なんですが、殺人事件に巻き込まれてしまいます。ぶん回しトリックと、この世界に稀に起きる奇跡が一体化した不思議な作品。
『チェスター街の日』もなかなか。
悪の陰謀に巻き込まれた主人公が体験した怪奇話。それを偶然バーで出くわした美希風が立ちどころに論理的に推理してしまいます。ちょっとウルッと来ますよ。
ラストの『読者だけに判るボーンレイク事件』も小技が効いていますね。これは一編目の『龍の淵』事件の事なんですが、さらに読者の知らない謎があったという。これを読んでからまた一編目をサラッと読み返すと「フムフム」。見事に作品集をここで完成させましたね~^^

いや~、楽しかった。こういうのに飢えていたのねわたし。。
基本、柄刀さんは苦手な作家さんだったのですが(考古学ミステリのイメージが強く)まさかの大ヒットです。他にもこういうのないかなあ。実に25冊ぶりの4匹越えで興奮しているわたし。

ただ、この作品、おそらく好き嫌いが分かれると思います。
ディクスン・カーとか二階堂黎人とか島荘のすご技トリックものとかが好きな方ならハマるんじゃないかなあ。