すべてが猫になる

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spica  (ねこ2匹)

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泉和良著。講談社BOX

髪はピンク。眉や睫毛までもがピンク。そして虚言癖のある元・彼女ーー遥香。でも、彼女との”別れ”なんかより、遥かに苦しくて、辛くて、最低最悪なことがある……それは、「続く」。恋愛は甘くて音楽のように心地の良いものだと思っているやつがいたら死ね。ファッキンラブ!デビュー作『エレGY』にてあの乙一滝本竜彦をうならせた疾走感が”恋愛小説”を新たな次元に押し上げる!かつて恋愛した人、今恋愛してる人、そしてこれから恋愛する人泉和良が贈る、とびきりのラブストーリー!(裏表紙引用)


『エレGY』(昨年のゆきあや賞受賞作)で衝撃のデビュ-を飾った泉さんの新作。本当は本書を明日の更新分にしようと思っていたのだけどあまりにも思う事が強かったから今書く事にした。イライラして寝れそうにないところまで来ているぜよ。
34歳の自分が読むには余りにも青臭い、それでもそこに普遍的なものが内包されていれば自分は普通に感動はするのだ。ここにあるのは昔置き去りにしたもの。消し去りたい昔の自分の姿が投影されているばかりか、恋愛で陥りがちなネガティブな部分が見事に美化されている。若さとはそういうものとは言いながら、時間と共に変化して行く経過をまだ知らない場から放たれる自慰行為が脆さとも違う、儚さとも違う、理解されなくても構わないという傲慢さだけが読後感として残る。

これで文章が悪くないもんだから、気持ちの持って行き場がないのも事実。主人公達と作者共に、素晴らしい芸術の才能を備えているだけに嫌味の一つも言ってやりたくなったとしてそれが何だろう。万人受けなんかしなくてもいいのに、それでもこの行き先には不安を感じる。