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消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿  (ねこ3.5匹)

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翔田寛著。創元推理文庫

西洋幽霊と日本の幽霊が連続して目撃された怪異。白装束を纏って剣を腹に突き立てていた英国人。歌舞伎役者を巻き込んだ山高帽子盗難の謎。鉄道開通に沸く観衆の中で叫び声を上げた女の悲しい過去。教会堂内で起きた密室状況下の怪死事件。ーー明治六年、文明開化の最中に起こる不可思議な事件を解決に導く特派通信員ワーグマンの活躍を描いた、江戸川乱歩賞受賞作家の連作推理。(裏表紙引用)


ミステリ・フロンティアってなかなか文庫にならないですよね。
と言う事で、とか言いつつ読もうか迷っていたこの作品もちょっと前に文庫化。なかなか正統派の作品のような気配を醸し出していて表紙もシンプルに渋いのでやっとの挑戦。(乱歩賞のやつが評判が良くなかったので渋っていた、というのもある。。でも、アレとは全然作風が違いそう。あくまで予想。)

シャーロック・ホームズ寄りの探偵なのかな、と思っておりましたが、記録者がワトスンではなく本人なので(笑)ちょっと違うかな。ホームズほどの気の強さもないし、無個性というわけではないけど結構地味な印象。だけど難事件が起きると必ず頼りにされてますワーグマンさん。
それぞれのミステリ的な内容はほどほどになかなか、という感じかな。それよりも、雰囲気が抜群にいいです。明治の時代を生きていない読者にも、当時の雰囲気が伝わって来たつもりになれますね。そのくせ主人公が異国人というのですから、この設定だけでも身を乗り出して読めるのでは。とにかく、意外にも文章が読みやすかったですしね。これは自分には大きい。
でも続編を読むかどうかは微妙。出るとすればだけど。