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平台がおまちかね  (ねこ3.7匹)

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大崎梢著。創元クライム・クラブ。

自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら、何故か冷たくあしらわれ…、文学賞の贈呈式では、当日、会場に受賞者が現れない…!?新人出版社営業部員の井辻くんは、個性的な面々に囲まれながら、波爛万丈の日々を奮闘中。本が好き。でも、とある事情で編集部にはいきたくなかった井辻くんの、ハートフル・ミステリ。“出版社営業・井辻智紀の業務日誌”シリーズ第一弾。 (あらすじ引用)


大崎さんの新シリーズです。「いや~、大崎さん好きなんだよね~^^」というノリで予約しましたが、ふと自分がまだ大崎さんの本は2冊目だと言う事にいきなり気付きました。はっはっは。
今回は書店員さんではなく、出版社の新米営業・井辻君(愛称ひつじくん)が主人公となったお話。ひつじ君の出版社は結構小さいらしく、平台に積んでもらうのにも悪戦苦闘しなきゃいけないみたいです。なかなか普通の好青年で良かったのですが、一つヘンな趣味があるんですよね^^;まあ、本好きの人には好感度の高い趣味だと思うんですが一般の人から見たらどうだろう(笑)

新人賞の贈呈式で起きたトラブルや、営業がこぞって他社の本をポップで推薦するコンテストなどなど、本好きならわくわくする題材ばかりです。ある書店員さんが自分の担当の棚をお客さんにけなされて・・というお話もありますね。久しぶりに営業に行ったら閉店していたり、本屋が次々となくなってしまっている今の現状と照らし合わせて気がふさいでしまうお話もありますね。
しかし、基本的にはどれもトラブルや勘違い、小さな謎を解決していくお話なのでどれも読後感は良いです。他社営業の真柴や前任の吉野などなど、キャラクターも生き生きとしています。
ミステリ的には力が足りないものも目についたのですが、総合的には素朴さが良かった作品集だと思います。

書店員さんになりたいと思った事はない、というお話を以前『ブックストア・ウォーズ』でしましたが、これを読むと「出版社の営業をやってみたい」と思ってしまったのはなぜだろう^^;売上げの話ばかりに寄っている気がしたので(最初はね)ちょっと価値観のズレを感じましたが、違う視点から本と接してみるというのも興味が湧きました^^
それと別で、自分と本との関係というのも考えてしまいましたねえ。右から左に読んでいる生活をしているもんで(;^^A。自分は活字中毒というわけじゃなくて、読みたくない本は読まないしジャンルも偏ってるしかと言って極めているという程でもないし。。こういう人達から見たらジャンクだよねえ。

ここからおまけ話。
この本を職場の休憩室で読んでいたのですが、最近よく話すようになったAさんが隣でひとこと。
『それ、もしかして図書館で借りてるの!?』
『そうですよー』
『ええっ、天○寺まで行ってるの!?(図書館印が見えたらしく)』
『いえ、人気の本とか新刊とかは予約したら取り寄せてもらえるんですよー』
『へえー!うそー!そんな事が出来るんやー!それってインターネットとかで?』
『そうそう。』
『え、でも取りに行くのは自分で?』
『・・・そうですよ?』
『うそーめんどくさーい!え、じゃあもしかして自分で返しに行かなあかんの?』
『・・・もちろん。。。』
『うわー』
『・・・(苦笑い)』

その数分後、よくちょっかいをかけに来てくれる社員のNさんが後ろで元気にひとこと。
『ゆきあやさん!今日も東野圭吾ですか!!』

うるさーーーーい!!^^;;;;;;