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使命と魂のリミット  (ねこ4匹)

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東野圭吾著。新潮社。

心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。あの日、手術室で何があったのか?今日、手術室で何が起きるのか?心の限界に挑む医学サスペンス。(あらすじ引用)


東野さんの医学ミステリという事でずっと気になっていた作品なのです。世間が「流星の絆」(買ったよ^^)とガリレオに夢中の今ならと思って予約したらあっさり廻って来ました^^vしかし、東野さんの本借りたの初めてなんだけど傷みと汚れが凄いね^^;どれだけの人数に読まれて来たのだろう。。歪んでるし小さい虫の死骸が計3匹押し花されていたしチョコとかソースとかの染みが至るところに^^;まあ先日の陀吉尼も茶色いしふにふにで凄かったのだけど。。だから新刊以外は借りるのヤなのよ。。まあおいら含め100%無傷で返せる人はいないんだけどね。

それはさておき、感想を。
あまり医学系を読まないので語るのもアレなんですが、医師の方が小説を描かれている事が多い現状で東野さんの手にかかればどうなるのかと思っていました。面白いのは間違いないと想像出来るのですが、現役の本職の方が描かれるソレよりはフィクション、エンターテイメント寄りのものが好みなので。(なんだったんだこの4行^^;)

中盤までは「なんとなく流れと人間関係が予測出来るなあ」という感じだったので、普通に読んでおりました。脅迫犯人も倒叙でしたし。それはラストまで変わらないのですが、意外性やどんでん返しを楽しむのではなく、それぞれの人間が持つ「使命」と「良心」がテーマとなった作品だというのがわかります。おいらの場合は仕事じゃなくて読書に使命を感じておりますが、ははは^^;どんな状況にあっても使命を全うする医師や看護師達の姿は感動的でしたね。最近は「たらい回し」問題がニュースを騒がせていますが、こちらのテーマは東野さんでなく薬丸さんとかが扱うとリアルなのかも。話それた。
対して犯人にも使命感があったのでしょうね。この動機には同情する余地ありです。やった事はとんでもないのですが、彼自身が悪魔に魂を売れるかどうかを賭ける作品とも言えるかもしれません。

犯人と警察、医療関係者達との対決は手に汗を握るものでした。そうそう、ある患者の娘夫妻のエピソードも良かったですね。なんてことない小さな出来事なのですが、夕紀にとっても大きな役割を果たしたと思います。そう言えば、”イヤなやつ”が出て来なかったなあ、この作品。
欲を言えば、ラストが少し唐突だったような。。ドラマティックではありますが、自分には不要だった気がします^^;あそこまでで十分感動して完結出来てたもの。

ともあれ、満足です^^「聖女の救済」よりも好きかも。