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ザビエルの首  (ねこ3.7匹)

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柳広司著。講談社文庫。

聖フランシスコ・ザビエル。日本にキリスト教を伝えたその人の首が、あるはずのない鹿児島で発見されたという。彼の首と、目を合わせてしまった修平の意識は、聖人が立ち会った四百年以上前の殺人の現場へ跳ばされるーー。時空を超えて、誰もがその名を知る歴史上の人物にまつわる謎を解く異色ミステリー。(裏表紙引用)


あれ?おいらコレ面白かったぞ^^;
まさかタイムスリップものだとは。と言ってもベースにあるのはザビエルが生涯で体験した殺人事件で、修平はそれぞれその時代の別人の中に入り込むという設定。行動等は彼の思い通りにならないが、
いざ推理を披露する時には元の彼の人格が発現する。時代考証等はさっぱりわからないので、個人的にはエンターテイメントとして楽しく読めるフィクションに重きを置かれたこの作品は非常に好みだった。ところどころユーモアの片鱗も伺えるし、連作短編集のような構成なのでラストに向かうにつれドラマティックに展開して行く様も興奮させてくれる。それぞれの事件の論理過程はそこそこ、という感じだが意外な真相が現代と絡み、単にザビエルの謎に立ち向かうだけでは終わらない。
ミステリとしてというよりは読み物としてお気に入りとなった感じか。柳作品では元々「百万のマルコ」や「はじまりの島」のような作り物の強い作品の方が好みなので、タイトルと題材の割には”こっち寄り”の作品に分類されるように感じた。