すべてが猫になる

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おれは非情勤  (ねこ3.7匹)

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東野圭吾著。集英社文庫

ミステリ作家をめざす「おれ」は、小学校の非常勤講師。下町の学校に赴任して2日目、体育館で女性教諭の死体が発見された。傍らには謎のダイイングメッセージが!一方、受け持ちのクラスにはいじめの気配がある……。盗難、自殺、脅迫、はては毒殺未遂(?!)まで、行く先々の学校で起こる怪事件。見事な推理を展開するクールな非常勤講師の活躍を描く異色ミステリ。他にジュブナイルの短篇2篇を収録。(裏表紙引用)



東野さんの中でもあまり評判を聞いた事のなかった作品ですが面白そうだったので買ってみました^^
短編集なのですね~。目次に「第一章」とか「第二章」とか付いてあるので長編なのかと。。
さておきこの非常勤講師の「おれ」はなかなかいいですね。とりたてて強い個性はなく、どちらかと言えばやる気がなさそうで情にも薄そうで子供好きってわけでもない。かと言ってそんな無気力教師が様々な学校で事件と子供に触れ合い、変わって行くという趣きのものでもない。淡々と授業を進め、子供達に媚びを売る事も無い傍ら、いっぱしの常識と正義感は人一倍持っている。ありのままの自分をさらけ出し、体面だけを気にする大人達を唾棄し、子供にまっすぐな何かを教えてくれる。それは愛情とは程遠い姿かもしれないけど、最後に「おれ」が子供達に放つ熱い言葉には毎回じんとなります。
特に、第二章「1/64」のラストシーンは大好きだなあ。

あとがきを読むまで意識してなかったのですが、これはジュブナイルのハードボイルドだそうで。言われてみるまで「おれ」の名前が出て来ない事に気付いてなかったわたし^^;(しかし、ハードボイルドの主人公って名前がないのが主流なの?東直己さんのもそうだし)