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聖女の救済  (ねこ3.9匹)

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東野圭吾著。文藝春秋

男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相はーー虚数解。
理論的には考えられても、現実的にはありえない。(あらすじ引用)


※物語の筋に若干触れていますので、未読の方は記事をご覧にならない方が良いと思います。



容疑者Xの献身』に続き、本作も倒叙ミステリですね~。
今回は毒殺の方法に焦点を絞っております。そして、注目すべきは草薙刑事の恋。どうも、この恋愛要素が自分には理解できず戸惑ったまま読んでしまいました。昔の知人とかならまだしも、え、いつ好きになったの?そんなに輝けるような描写あったっけ?と疑問が。一般人ならまだしも、刑事ですからねえ。美貌でいちいち容疑者に惚れられても困るというか。まあ、刑事も一介の人間ですけども。
女性の視点から冷静に理論的に推理を展開する内海刑事と対立し、感情的に事件を見ている草薙さんにハラハラしました。福山、じゃなくて湯川さんが草薙刑事の人柄を熱く語るくだりがなかったら気持ち的に見捨てていたかもしれません。

しかし、二人の女が死んだ男性を巡って繰り広げられる微妙な関係は面白かったです。個人的意見としてはどちらも全く理解出来ませんが、そもそも被害者の人間性が酷かった。コレと言って直接的に害のない、犯罪とは無縁そうな男性なのですが、彼が自慢げに語る「ライフプラン」、こりゃまた一体何なのでしょうか。ちょっと人間性を疑うというか、人として欠陥がある印象。殺されて当然とは思いませんが。

そして、福山じゃなくて湯川さんがついに見つけた毒の混入方法。内海刑事、草薙刑事がそれぞれ調査で発見した意外な人間関係を元に動機と機会を見つけ出し、遂に真相に至ります。湯川さんがなかなか真相を話してくれないので、ちょっとイライラ^^;実際に犯人が実行した方法はまさに「理論的には考えられるが現実的でない」ものでした。この根性には頭が下がりますが、同じ屋根の下で生活している以上どこかでミスが起こり得たはずです。そういう意味では現実味がありませんが、この場合は「上手く行ってしまった」あげくの果ての事件、という事なのでしょう。読み終わってからタイトルが目に入り、「なるほど、それで”救済”か」と腑に落ちました。

余談ですが、噂の「福山雅治の歌を聴きながら、」にたまげました^^;そしてページをめくるとまた「福山雅治のアルバムが終わっていて」・・・しつこい!!(笑)
ま、総評としては満足でした。短編の方が好きだけど^^