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ガリレオの苦悩  (ねこ4.3匹)

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東野圭吾著。文藝春秋

湯川の頭脳に挑戦してくる犯人たち。科学を殺人の道具に使う人間は許さない。ーー絶対に。(帯より)探偵ガリレオシリーズ第4弾。5編収録の短篇集。


やっと買えました(^^にこにこ)。
とりあえず大満足の1冊でした。スクリーン湯川の興奮冷めやらぬうち、彼の魅力と推理が爆発しております。関係ないけど、本屋でずっと表紙の水晶を”目玉のおやじ”?と思っていた。違っていて嬉しいよ。
では、各編の感想をば。

『落下る』
映画・ドラマで活躍した内海薫初登場です。福山・・じゃなかった、湯川先生との初顔合わせ。映像を観ていなかったらかなり戸惑ったと思うのですが、自分の頭の中で普通に柴崎コウが登場しすんなりとキャラを受け入れられました。しかし、女性を描くのが不得手な東野さんが女性ならではの視点、感覚というものを扱っていて驚かされますね。初登場にふさわしい見事な謎。(一つだけ傘の疑問が残ったんですが。。誰か説明して^^;)

『操縦る』
中編ですね。ふくや・・湯川さんにも色々過去の人間関係があったようです。爆破事件という事で科学者の腕が鳴る感じです。これは犯人はなんとなく読者にも提示されている感がありますね。問題は方法なのですが、湯川さんが見事解き明かしてくれます。こちらは湯川さんの人間らしさが浮き彫りにされていて泣ける作品ですね。普通の人でもここまでは言えないと思う。

『密室る』
湯川さんにまたまた昔の友人が!意外と交際範囲が広いのか。。。
ペンション経営者である依頼者の意図が不明で、地味ながらも読ませてくれます。この作品では内海刑事が登場しませんね。その代わり、意味深な言葉が湯川さんの口から。。湯川さん、結構内海さんをお気に入りという方向に持って来るのでしょうか。湯川さんの結婚観が伺い知れる一幕も。

『指標す』
ダウジングで犯罪を突き止めようとする少女。
このお話は好きですね~。ただ謎を解くだけでなく、魔術的なものを否定するでもなく。かなり人間・湯川が強調されている雰囲気が。湯川さんは子供が苦手なはずですが、これぐらいの年齢の子なら大丈夫なのかな?

『攪乱す』
湯川准教授、「悪魔の手」から挑戦状を突きつけられる!
これもいい。なぜ犯人がインターネットにこだわるのか、犯行の方法など、理論的で良かった。内海刑事大健闘ですね。湯川を狙った動機なども現代的で面白い。
そして、最後の草薙刑事と湯川さんとの会話が気に入りました^^人の目なんて気にしてないように見てそうでもなさそうな湯川さん^^;なんか可哀想というか可愛いというか。。


いやいや、充実したひとときでした。賛否両論だとは思いますが、内海刑事がこれほどハマるとは。。草薙さんが喰われてしまっている印象ですね。湯川さんが福山にしか見えなかったのも評価のプラスに加わっているのかもしれませんが^^;『探偵ガリレオ』『予知夢』にひけをとらない出来の傑作集だったと思います。欲を言えば、実験のシーンはやっぱり映像じゃないと理解するのがたいへん^^;