すべてが猫になる

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クリスマスの4人  (ねこ3.8匹)

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井上夢人著。光文社文庫


1970年、ビートルズが死んだ年の聖夜、物語は始まった。その夜を共に過ごした20歳を迎える
4人の男女。ドライブ中の車の前に突然、飛び出してきたオーバーコートの男。彼らは重大な秘密を
共有する羽目になった。その後、10年毎に彼らを脅かす不可解な謎と、不気味に姿を現す男。
2000年、時空を超えた結末は、破滅か、奇跡か!?(裏表紙引用)



積読月間~♪
積読本といふものはあまり乗り気になって読めないので(なぜ買う)放置しておいたもの。
買って3年以上経つに違いない。「今年のクリスマスこそは」「こそは」と思い続けて幾星霜、
満を持して時期をさりげなく間違えやっと手をつけました。
井上さんは結構好きなのですが、これ、ずっっと短編集だと思ってたんですよ。
短編集って、「短編集の気分」じゃない日には読めなくないですか?^^;

で、読了。
あいやややや。読んどきゃ良かったよ。
面白いじゃないの。

ストーリーの先の読めなさでは右に出るものはいないと言われる井上さん(今作ったうわさ)。
自分たちが轢き殺し、死体を埋めた男が10年後にそっくり同じ姿で彼らの前に現れる、という
ホラーのようなB級ミステリのような、不思議な展開。
しかも、さらに10年後にはさらに謎が大きくなって現れる。
あいやー。先が読めねえ~~~
「論理的な解決」というものがあるようにも感じず、かと言って「幽霊でした」なんて
ゆきあやでもやらないようなオチが待っているはずがない。
じゃあ一体??

深まり続ける謎に翻弄されながら、物語は加速的に終結して行きました。
実は、普通の新人作家さんがこれやったら間違いなく壁本になるであろう的な突拍子もない
解決が待ち受けておりました。。

そこはさすがに井上さん。西○○彦もびっくりのスマートなご解説!
最初「そりゃねえよ」と思っていた自分が最後には見事に言いくるめら……いえいえ、
納得しましたもの。
満足ではないけれど、「参りました」という感じです。
このラストシーンがあったから、だけど。