すべてが猫になる

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しゃばけ  (ねこ3.8匹)

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畠中恵著。新潮文庫


江戸有数の廻船問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで
出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出す
ことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が
一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
(裏表紙引用)



時代物で、おいらがさくさくと抵抗なくしかも楽しく愉快に読めた小説って初めてじゃないかな。。
昔、都筑さんの「なめくじ長屋」シリーズは読んでた気がするので、じゃあそれ以来か。
というより、そもそも時代物自体、頑なに読まないでおこうとするジャンルなので
初めてちゃんと読んだ、という方が適切かもしれない。

文体が読みやすいので、(故意にだと思うけどなるべく現代語に近く書かれている)
まあそれでも根が時代物嫌いだから「さくさくと!」という程ではなかったのだけど、
つっかえて進まないなんて事もなく、「やめようかな。。」なんていう誘惑は一度も頭を
かすめなかった。

事件そのものはそれほどショッキングなものではなく、クライマックスもそういう目で見れば
どんでん返しやもの凄い真相などがあるわけではなかった。第一ミステリーだと知らなかった^^;

魅力はやっぱり一太郎の周りにいる妖怪たちのキャラクターと、彼を取り巻く家族や
菓子職人の友人、栄吉とのやり取りが日本人らしい情に溢れているところ。
一太郎自身は体が弱いのが歯がゆい、その葛藤が共感出来るし、彼の持っている優しさは
十分に、その反面、一本芯が通った内面の逞しさがじんわりと伝わって来て良かった。


シリーズのためのシリーズという感じだね^^文庫で集めようかな。彼らのその後を
追わない手はないでしょ。一太郎のあの件も未解決だし。

一番気に入った妖怪は、マニアックなところを責めて屏風のぞき^^。
憎たらしさが可愛らしい!うちにも襖が欲しい。。