すべてが猫になる

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第29位 『星降り山荘の殺人』 著/倉知淳

今ノリノリなのでどんどん行きます。
第29位は倉知淳の初長編であり、多くのミステリ読者を見事に騙し切った事で話題となった
「星降り山荘の殺人」。
倉知淳と言えば「好きな作家ベスト10」に入る程お気に入りの作家で、寡作とは言えど
個人的にも一般評価的にも”ハズレ”作はなし。シリーズものの「猫丸先輩」の
大人気ぶりを筆頭に、全てのミステリ読者に愛されている希少な存在の作家でしょう。


さて、本作は本格ミステリの定番中の定番、王道中の王道、クローズド・サークルものの中では
「山荘もの」と言うジャンルが確立しているとかしないとか。それだけで「あ、吹雪が来る」
「あ、電話が通じなくなる」と説明する必要がないらしいよ、とゆきあやという人が言っていた。

と言う事で、ある意味こういう新本格というのはある程度本格ミステリについて免疫じゃないけど
知識がないと、一般読者には馴染みにくいものが多い気もする。最低でも、フェアアンフェアの
なんたるかを議論できるぐらいでないと、「ズルい」と言われてはい終わり。
自分は昔「ハサミ男」を貸してそう言われて以来貝のように心を閉ざしている。。
特にこの作品、作者は「外部の人が読んでも違和感がない」ものとして書かれたらしいが、
思いっきり違和感あると思うんですけど^^;出て来る登場人物の胡散臭さはウルトラ級で、
(スターウォッチャーとか言われても^^;)そこが30位の「七回死んだ男」とは
違う意味でリアリティがなく、こちらは余程人を選ばないとお薦めしにくい。


逆に言うと、本格ミステリが大好き、アガサ・クリスティー綾辻行人島田荘司
大好きだという人には送りつけてでもお薦めしたい、そんな作品だったのだ。
騙されたい貴方。衝撃を受けたい貴方。ここにその全てを叶えてくれる(かもしれない)
作品があります。


あのページにべっくらした!と言えば「十角館の殺人」。その衝撃に匹敵するのがこの作品。
その割になぜこれは29位かと言うと、(↑これから出る、って言ってるようなもんだけど)
この作品の”仕掛け”が余りにも衝撃だった、こちらはただそれだけの理由だから。
内容そのものの面白さは、ちょっと自信がない。初読時のおいらは、(初倉知さんはコレ)
「あまり面白くないような。。ていうか犯人バレバレだしフェアすぎないか?」
とかなんとか考えて読んでいた記憶があるので。当時都筑道夫さんを続けて読んでいたのも
あって、「二番煎じ?」感が拭えなかった。

・・・とかなんとかちょっとミステリを読み慣れてるからって調子に乗ってるから
騙されるんだ!!
ああ騙された!!綺麗に騙された!!いっそすがすがしいぐらいに騙された!!!
犯人が当たっていたのに騙された!
・・と、あんまり書くとカンのいい未読の方がピンと来るかもしれないので。



いやいや、ピンと来ませんって!!!!
この作品は看破出来ませんって!!!!! ←このブログやってる人おかしい




ていうか、再読する必要がなかった気がしてしまうへぼ記事だ^^;;
違うの。これはそれだけしか言う事がなくて、それだけが言いたいぐらい凄かった作品だったの。。