すべてが猫になる

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世界の終わりの終わり  (ねこ3.7匹)

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佐藤友哉著。角川書店


小説家の夢を断たれた「僕」は、復讐の物語を紡ぐため東京へ向かうがーー夢をあきらめさせられた
若者の、苦しくも美しき蹉跌と再生の物語。(帯引用)





私小説かと思いきや。脳内妹も脳内”影の自分”も本当かと思いきや。
立派に小説でした。妹が轢死したくだりでちょっと「ホッ」と胸を撫で下ろした鬼のような自分。
脳内妄想はもうたくさんだよ!と拒否反応を示していたので^^;
この新作、なかなかに悪くはない。
私小説ではないと理解しつつも、今まで佐藤友哉を誤解していたんだなあ、と思える
彼に最も似合わない「前向き」「謙虚」「感謝」という概念が伺えた気がしたからだ。

内容そのものはなかなかに引くマニアックなものだけれど、
書けそうで書けない、そういう微妙なストーリーと引き込まれそうで引き込まれるまで
行かないこの不安定な文章がいつでもツボ。
脳内妹と花売り娘とヒマワリ畑。
ロックスターの名言と世界の名作たちの感動的なセオリーをいつでも心に抱いて。
普通は難しいと思うよ。自分は作家なんだって胸を張っている姿の方が似合うよ。