すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

夜は短し歩けよ乙女  (ねこ4.5匹)

イメージ 1

森見登美彦著。角川書店





恋愛小説は嫌いだ。
なんとかのソナタも世界の中心でなんとかも存在が許し難い。
だけど、これは違った。
自分がイメージしている数多の恋愛小説とは違いがありすぎた。
素敵すぎる。かわいくって、おもしろくって、とっても雰囲気があって。そこには自分の嫌う
波打ち際のプロポーズも絶好調真冬の恋も合コンで知り合って意気投合も何もなかった。
あったのは内気な主人公が黒髪の乙女をストリーキングするその懸命な姿と、
そんな彼の存在を気にも止めず、その天然のボケが彼のみならず読者をも魅了する黒髪の乙女。
そして二人を取り巻く超・超個性的な脇役キャラたち。

素敵な小道具が作品いっぱいに舞い飛ぶ笑いと哀れみ(笑)の空想世界。
電気ブラン。象のお尻。喜劇『偏屈王』。ああ面白すぎる。それだけでもう面白いのに、
彼女がなんか魚背負っちゃったり首から達磨かけちゃったり演劇で変な役こなしたり^^;;
彼は彼で彼女のために火鍋つついたり劇に参加しちゃったり下着とられちゃったり
これまた大変だ大変だ^^;;;;

かと言ってこれがもの凄いドタバタしたコメディかと言うと、そんな感じが全くしないんだよなあ。。
独特の言い回しがいかにも京都という舞台と合っていて、そのせいかとも思うんだけど
なんだかテンポがおっとりしていて、気持ちがいい。
大声で「ハハハ!」と笑うというより、ニヤニヤしながら二人の行く末を見守ってしまう、
そんな感じ。

一途にも程がある、天然にも限度がある、そんな二人のこの好感度の高さといったらない。
笑って笑って、最後にはじんと来るね。なむなむ^^