すべてが猫になる

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さあ、気ちがいになりなさい/Come and Go Mad (ねこ3.6匹)

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フレドリック・ブラウン著。星新一訳。早川書房『異色作家短編集2』。


12編収録のフレドリック・ブラウン奇想ワールドです。
書庫迷ったんですが、ここでいいのかな。(この叢書全部書庫統一したかったんですが)

フレドリック・ブラウンを読むのは、先日月野さんよりお薦めいただいた
火星人ゴーホーム』以来の2冊目となります。樋口さんの『ぼくと、ぼくらの夏』の
主人公も読んでいたくらいだから相当のカリスマ作家さんなんでしょうねえ。。
『火星人~』がかなり自分好みだったので、これもいけるかな、と軽い気持ちで挑戦したの
ですが、作風はやっぱり想像通りのとんでも設定にとんでもオチで楽しかったですね~。

ただねえ、自分はどうやら「エスエフエスエフしたSF」(ボキャひんこん^^;)が
苦手のよう。実は『2001年宇宙の旅』も挫折したくらいで^^;
出来れば宇宙には行かないで欲しい。。(←SF読むな)
そういう作品を除けば大丈夫かと言うとそうでもなかったのだけど。



そんな私のお気に入りは
『ぶっそうなやつら』。

隣にいる男が現在脱走中の殺人犯かもしれない。。そういえば立ち居振る舞いがどう見ても
怪しい。。なんとかしなければ次殺されるのは自分だ。。と、どちらの男も思っている、
というのがユーモラスで良いではないですか。
この二人だけの間で展開が進むだけでも充分面白い「期待通りのオチ」が作れたと思うんですが、
まさかこんな途方もないオチになるとは。。
人間の頭の中だけで進む地味なお話なんですが、こういう気持ちのいい結末に淡々と
持って行けるというのは凄い才能だと思います。

もうひとつ気に入ったのは
『おそるべき坊や』。

水鉄砲で悪魔退治をした坊やのお話。
このオチはいい!最初に坊やが何をしたか、がわかっているんですが、
時間を遡って出来事を追うだけでなく、本当に大事な事は最後まで読者に教えない。
ブラウン恐るべし。

あとは『ノック』も良かった。
宇宙人に侵略され、生き残りの地球人が知恵を絞って状況を打開しようとするお話、かな。
おいらは最後にせいせいするオチものが好みっぽいです。



あとがきの熱いこの本の復刊(星さん訳、という)の喜びの声や、作品の良さを
読んでいるとどうも自分とはズレが大きいようで、なんだか申し訳なくなったほどです^^;
『「Aだと思ったら実はAでした」という意外性』の面白さが生きている作品は
自分の琴線にひっかからなかったみたいで。。

しかし、ここに入っていない作品の解説を面白そうに書くのはやめて下さい^^;
入ってない事に気付いて愕然としたじゃないですか。。