すべてが猫になる

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ぼくと、ぼくらの夏 (ねこ4.3匹)

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樋口有介著。文春文庫。

高校二年の夏休み、同級生の女の子が死んだ。刑事の父親と二人で暮らすぼくは、友達の麻子と
調べに乗り出したが……。第6回サントリーミステリー大賞読者賞受賞のデビュー作。


おっとっと。『枯葉色グッドバイ』で「樋口さんにこれ以上の傑作があるの~?」と
懐疑的になっていた自分、おめでとう。点数は一緒だが私はこちらの方がもっと好きでした。
以前図書館で借り、2/3も読んでおきながら期限切れで返却したまま放置、という
後ろ暗い過去のある作品だが、このたび謎の樋口さん文庫復刊ラッシュにより新装版入手。

全然不愉快な部分がなかったわけではない。
自分だって、出来れば誰にも知られたくない、墓場まで持って行きたいような恥ずかしい過去はある。
それを知って誰が幸せになる?傷つく人はいても。だけど、社会正義だ我慢しろと言われちゃ
黙るしかない。でもすんなり納得出来るほど人間が出来ちゃいませんからね。
自分とは立場が違いすぎるものの、少しここに出て来る悲劇の登場人物達に(悪役含め)
同情しちゃっただけ。

ま、そこはおいといて。
やっぱりモテモテの主人公なのね^^;何度も何度も言うけれど、浮気性の男は好みじゃないから
しょうがない。でも、柚木さんほど女性の「外見」の描写だけに留まってるわけじゃないので
良し。『行動はエキセントリックだけど、人の話はちゃんと聞く子だ』とか。まあ、
『なんでこんなに美人なのに教師なんてやってるんだろう』は聞かなかった事にしても。

時代は古いけれど、なんとなくお洒落。本来自分ならば批判の対象になるような点、
(突然友人が死んでどんなに泣いてもわめいても私にはここにいる登場人物達から「悲しい」という
感情を感じられなかった)それすらも雰囲気に合ってるよなあ、ですませられるから不思議。
実は『赤いリボンがたなびくポニーテール』とか『はにかみ屋のテニスボーイ』とか
やられると辛いんですが^^;黒電話だとか(トコロテンはともかく>よもさん^^;)、
二層式洗濯機ぐらいなら懐かしのアイテムですからね^^

総評すると、単純に悲しかったんですが^^;ミステリーとして意外と楽しめた点や
主人公の人格に一貫性があって、それが大きな魅力となっている点、デビュー作という点を
考慮して高得点です。まあ簡単に言うと、おいらこれ大好きです^^v