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鳴風荘事件 殺人方程式Ⅱ (ねこ4匹)

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綾辻行人著。講談社文庫。

奇天烈な洋館に集まった人々は目を疑った。六年前に殺された女流作家そっくりに、その妹が変貌していたのだ。そして姉の事件と同じ月蝕の晩、惨劇が彼女を襲う。“不思議な力”を持っているという黒髪を切られる手口も酷似して―。必要な手掛かりをすべて提示して「読者へ挑戦」する新本格ミステリの白眉。(裏表紙引用)
 
20.2.18再読書き直し。
 
明日香井叶&響の双子コンビが活躍する殺人方程式シリーズ第二弾。
 
天体観測中、叶がマンションのベランダから目撃した殺人事件。妻・深雪との出会いで始まる物語。当時大学生だった深雪は、友人の夕海の姉・紗月の「未来を見る力」を体験するため紗月のマンションへ向かった。しかし紗月は自室で遺体となって発見され、その長い髪は切られていた。深雪たちはエントランスで逃げる男を目撃し、後日その男は自殺してしまう。6年半後、深雪は高校時代の仲間たちと共に埋めたタイムカプセルを掘り出すため、叶を信州へ誘う。しかし叶は直前に急性虫垂炎でダウンし、響が叶のフリをして同行することに。やがて仲間の別荘にて6年半前と同じように夕海が殺害され…。
 
ページ数も多いのであらすじも長いな。なかなか現代の事件が起きない。容疑者のうち4人が足になんらかのハンディキャップを持っているというのがキモ。癖のある犬や、被害者の持ち物が大量に盗まれていたこと、元教師が目撃した不審な人物や火の玉など、怪しい要素がてんこもり。のちに新たな殺人も起きて、二つの事件の相違性がことを混乱させている。響もこればかりはかなり苦戦しているなあ。方程式らしい方程式は出なかったので良かった。計算や測量といっても小学生レベル(悪口ではない)。トリックは奇想天外だが、トリックそのものよりもその動機のほうが重要だと思う。犯人の性質や性格が事件を構築しているので。響も虫垂炎でダウンしたのは笑った。。推理ものとしてはこちらもかなりの本格テイストなので満足。つくづく、このシリーズが続かなかったことが残念。
 
登場人物データは最初にまとめて載せて欲しかったな。