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マリオネットの罠 (ねこ3.8匹)

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赤川次郎著。文春文庫。

K大学仏文科の研究生・修一は、師である浅倉教授の薦めで住み込みで家庭教師のアルバイトを
する事になった。期間は3ヶ月、姉妹二人にフランス語を教えて報酬は100万円。食事付き。
あまりのうまい話に飛びついた修一だが、姉妹の住む館ではおかしな現象が。。誰かがこの館に
いるような気がするのだ。。。


本書はあちこちのお仲間さんの所で話題となっていて気になっていたものの、「フッ、今さら
赤川次郎って。。」と二の足を踏んでいた。先日ブラックべるこさんが絶賛をもって
アップされたその記事で急にスイッチが入り、ほくほくと購入。赤川氏に対し、自分と同じような
印象を今抱いているべるさんがあそこまで褒めるのならば疑う理由はない。


第一章の面白さ、これは読む手が止められない程の興奮であり、驚きでもあった。
プロローグの殺人鬼のエピソードが、すんなりと館の雰囲気に恐怖を与えるあたりは凄い。
秘密の部屋、うめき声、そして殺人。さらにハラハラものの脱出劇から一転、物語は意外に次ぐ
意外な展開を見せる。

第二章からはまた、「その後」として別アングルから事件を紐解いて行く。そしてさらに、
町に跋扈する連続殺人鬼の凶行がこれでもかこれでもかと展開されて行く。
このあたりで、ほんの少しだけ不満を言おう。
ちょっとしつこい。
その気持ちが、第三章の犯人の正体とその真実が明かされる部分で自分は枷になった。
タイトルに対して若干思う事もあり、(ネタバレになるので曖昧に書きます。。)
この事件の真の真相には純粋に驚けなかったのは残念。
からしょうもない事も書くが、女性の一生の思い出となる日にこの展開はちょっと
勘弁して欲しい。すいません、関係ないんですけどすいません。


とは言っても皆さんは、10代の頃やミステリーに目覚める前に読まれたのであろう。
自分が同じ時期に読んでいたら、今でも語り継ぐ思い出の一冊として本棚に大事に
しまわれていたのかもしれない。
もう1度読まれてどういう印象を持たれるだろうか。
初読の感動よりも、そちらの方が興味があります。どなたかゆきあやの為に
お試しいただけたら嬉しい。
だって自分は、今でも「十角館の殺人」を面白いと思うからね。

と、ここで締めるつもりでしたが、ふと。
赤川次郎より、西村京太郎が好きでした。
中でも、「消えたタンカー」「神戸駅殺人事件」「終着駅殺人事件」「黙示録殺人事件」などは
これより世の中で面白い本を挙げよと言われても考え込んでしまう程当時の自分には面白かった。
とか言いつつそれぞれ1度しか読んでいないが、今読んだらどうだろう?
(まあ、再読なら筋をある程度知ってるというのはネックだが)
つまりはこの作品もそういう感じなのだろうか?