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殺人方程式 ー切断された死体の問題ー (ねこ4匹)

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綾辻行人著。講談社文庫。

新興宗教団体の教主が殺された。儀式のために篭もっていた神殿から姿を消し、頭部と左腕を切断された死体となって発見されたのだ。厳重な監視の目をかいくぐり、いかにして不可能犯罪は行われたのか。二ヵ月前、前教主が遂げた奇怪な死との関連は?真っ向勝負で読者に挑戦する、本格ミステリ会心作。(裏表紙引用)
 
20.2.13再読書き直し。
 
初読の評価が低すぎてビックリした(3)。自分に見る目が出来たのか、あの頃は好みの範囲が狭かったのか。多分両方。
 
綾辻作品と言えば人気のシリーズキャラというものがないイメージだが、ここにキャラが立った探偵ものがあるではないか。なぜ人気が出なかったのだろう。続かなかったというのもあるだろうが、館シリーズが人気すぎるということで日の目を見なかったのだろうな。双子で片方は死体が苦手な刑事、片方は頭脳明晰の自由人(実質探偵役はコッチ)、名前が叶と響で読みが同じ。頼りないが嫌われない刑事とクールな一匹狼探偵、なかなかいいコンビ。
 
トリックについては苦手な方程式が出てきたので若干引いたけど、よく考えたらタイトルが「方程式」なのだ。トリック勝負という作品でもなく、その動機や犯人の意外性、この犯人だからこその様々な行動の一つ一つがよく考えられていて、完全な本格推理小説としてレベルの高い作品だった。エピローグにも新たな真相が加えられていて凝っている。館シリーズ好きならすすめられるシリーズ。