すべてが猫になる

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お人形と結婚した男/J'ai Epouse une Poupee Gonflable (ねこ3.8匹!)

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ルイ=トマ・ペルティエ著。扶桑社。

大手保険会社に勤める26歳のフランシス。消費者からのクレーム処理の一環でポルノショップを
訪れた彼は、<ペニス引き伸ばし器>なるものを購入するはめに。ほうほうの体で店を去りかけた
フランシスだが、プラスティックのお人形に目を奪われるーーーそれは、彼を捨てた最愛の女性
ジュヌヴィエーヴに瓜ふたつだった!まもなく彼は、酒に酔った勢いで<彼女>を購入し、お人形と
暮らしはじめるのだが……。最愛の恋人を失った男の奇妙な同棲生活を描く、
ファンタスティックで心温まる物語。(あらすじ引用)


本書を読むに至った経緯につきましてはこちらを↓。
http://blogs.yahoo.co.jp/yukiaya1031jp/45387190.html


あれまあどうしよう……………………これ、良かったんスけど………。。。
出だしは最悪。フランシスがどういう男かって言うと、「別れたい」と言われて
ショックのあまり昔彼女にもらったラブレターを彼女の目の前で朗読するような男ス。(ひぃぃ)

「さあ、聞いてくれよ。<見知らぬ島、悩ましき愛、すべてを焼きつくす赤裸々な愛の炎>」
「<あなたにこそ私は夢中。そして私の接吻は永遠の輝き。今日の愛は幸せなさざめき。>
ほらね?君は永遠の愛を誓っている!」

…………(ーー;)。。。なんだこいつ。。。。

しかも彼女を忘れる為に職場に持って行くのは彼女の一番写りが悪い写真(ーー;)。。
かかって来た主婦対象のアンケートに「僕はもう彼女はいないから僕が主婦と言ってもいい!」と
迷惑に答えまくる。その応対もかなりキている。もちろん途中で切られていた。ちん♪

結局それでも振られてしまうフランシス(当たり前じゃ!)。お仕事はお客に保険を払わないで
済むようにがんばる事。今回は<ペニス引き伸ばし器>を使用して下肢の機能を失った男が
お客様。彼にお金を払わずに済ますためには<引き伸ばし器>を実際に購入してメーカーに
訴訟を起こせば良い。(なんのこっちゃ?)

結局ね、買わないんですよ。4センチ伸びるらしいんですけど。
実際に買うのはそうお人形もとい彼女にそっくりな『ダッチワイフ』でーす。←ゆきあややけくそ


さあ、ここからです!!
意外や意外、これ、エロくも下品でもなんでもない、ユーモアとロマン溢れる恋愛小説、
涙と友情のファンタジック・コメディ!!
もちろんダッチワイフを正当に使用したりしません!
官能シーン一切なし!不快指数ゼロ!!!
彼は純粋にこの新しい彼女を愛してしまったのです!
そして落ち込んでいる彼の為に友人のジャンは色々と女性を紹介してくれたり、
いっぱしに親友もいるんですよねえフランシスさん。そしてジャンの新しいガールフレンドと
ブルデートの計画を立てたジャンは彼の新しい彼女がアレとは知らず・・・。
さてさてその顛末はーーーー!?

これが普通にお人形だったら、ありがちな結末に映ったかもしれない。
ダッチワイフが物語を面白くさせてるんです。最後のジャンとのトラブルはダッチワイフだったから
こそ起こってしまった悲劇なわけで。。ああ、これはおかしい、腹いて~^^;;
リアリティなんて吹っ飛んでしまえ。この作家は愛を描いた!感動をありがとう!!


………というわけで^^;、企画ネタとしては非常につまらない記事となってしまいましたが
どなたか挑戦なさいませんか?「絶対」という言葉も使っちゃっていいですか?これを読んで
不愉快になったり退屈したりする読書家さんはいないぞ!!
ちなみに、文体はかなり軽め。台詞多し改行多し。ヤングアダルト系のような読みやすさ、
文量も200ページ強と手の出しやすい条件がたくさん^^v


余談ですが。本書に吸い込まれた大きな理由がもう一つ。
前記事で『フランス文学』と書きましたが、分類によると『アメリカ文学』でした。
へ?仏訳と記述がある上、どう見ても作家のお名前はフランス人ぽい。登場人物の名前も
カトリーヌだのジャンだのフランスぽい。しかもどう読んでも彼らはフランス語を話している。
なんで?と思い作家プロフィールを確認すると、著者はカナダ生まれカナダ育ちカナダ居住の
カナダ人。それで『アメリカ』は腑に落ちたものの。
そして物語はどう読んでもカナダが舞台。
カナダって英語圏だと思っていましたが?フランス語圏の地域なんてあるの? 
気になって仕方がなく途中でおかんに電話。(歴史が得意)
『それはわからん。フランス領やったんちゃうか。ところであんたメガネケース忘れて行ってるで』
とわかったようなわからんような答え。

と思っていたら物語で『フランス語圏』という文字が!そしてあとがきで結構詳しく
その点に触れてくれていました。やっぱみんな注目するのねそこに。
でもフランスとの関係はやっぱりわかりません。どなたかご存知でしたら教えて下さいな。