すべてが猫になる

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月の骨/Bones of the Moon (ねこ4.9匹)

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ジョナサン・キャロル著。創元推理文庫

カレンは平凡な女性だったが、それなりに辛い経験もしてきた。男に捨てられ、子供を堕ろした事も
あった。だが今は、最高の夫ダニーと、最愛の娘メイ、親友のエリオットと共に世界一幸せな
人生を歩もうとしている。おかしな事の予兆は、カレンがメイを身ごもっている時にやって来た。
ロンデュアという知らない世界、喋る動物達、カレンの息子・ペプシが登場する夢。彼女は毎夜
夢の中で5つの月の骨を捜し始める。その夢はやがて現実にも影響を及ぼしーー。


やっぱりめちゃくちゃ面白いジョナサン・キャロル
困るのは、この面白さを人にどう説明していいかわからない事。どんなお話かと聞かれると私は
頭を抱えてしまいそうだ。えーと、女の人が変な夢を見るお話です?とか言いながら、この物語の
最初の1行は「<まさかり少年>は下の階に住んでた」なんだからわけがわからない。
なんですか唐突に「まさかり少年」って。実際この「まさかり少年」が物語にもの凄い影響を
与えるんですが、冒頭からこれじゃもう完全に掴みはOKでしょう。

前作記事にした「死者の書」と共通していると感じたのは、物語の出だしのうまさと、
クライマックスの体に電気が走ったような意外性と衝撃。「死者の書」よりもこちらの方が
ファンタジー色が強かっただけにこのラストの展開のショックは大きかったかも。
「ショック」というのは文字通りで、あのキャラがまさか……という哀しみと驚き。
そしてその後に待っていたのは途方もない恍惚を味わえるあの出会いのシーン。
ぐるぐると廻り続けるこの物語に浸る暇もないまま、気が付いたらこんな所まで自分は来ていた。

一つ、このペプシという少年の正体を言葉で現すのにいい表現が思いつかなくて歯がゆい。
実は今でもまだそれを考えている。


※月野さん、abeさん、素敵な本を紹介していただいて感謝してます(*^^*)v
 ねこ減点の言い訳……どちらが?と聞かれたら間違いなく「死者の書」の方が好き、と
 答えそうなので^^;。気持ち的には「死者の書」が6匹、「月の骨」が5匹とお考え下さいまし。
 月野さん、だから泣かないでねv