すべてが猫になる

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眩暈を愛して夢を見よ (ねこ3匹)

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小川勝己著。新潮社。

須山隆弘の高校時代の憧れの先輩・美南は元AV女優。ある日、須山の元に謎の女が訪ねて来た。
美南が失踪したから捜してくれと言う。不審を感じながらも調査を開始した須山だが、彼女の
波瀾万丈の悲壮な過去がどんどん暴かれて行きーーー。


忘れていた訳じゃないんですが放置していた小川さん。全部ハードカバーだから
読める機会が限られているというのは言い訳としても、「ああ、あの時一気に読んでりゃ良かった」と
残念な気持ちになった。毎日何かしら色々読んでいると、まるで第三次成長期のように短期間で
本の趣味が変化している。
え、遠回しに言うな?
う~ん、なんかノレない。。。
自分がノレない。。鬼畜っぷりは相変わらずだね、と懐かしむ感情も湧き出しつつ、
変は変だけどここまで変になれる作家だったっけ?と違和感も感じながら。
自分の臨界点は、「どこまでの鬼畜にならついて行けるか」ではない。
トリッキーなものに吸い込まれて行くならば、『まどろむベイビーキッス』くらいまでが自分の限界。
そもそも、私はこの作家の文章自体は褒めた事はないのだ。(たぶん)
文章や人物造形、書評批判とも取れる本書の展開に胸悪く読んでいたものだから、
こういう結末に狡さを感じながらもムダに疲れた印象は否めない。
終わりよければ良し、という読者にはなれないもの。(つまりラストは良かった)

でも、面白くなかったとは言わない。
帯に『この物語の真相は決して決して人に話さないで下さい』というそそられる一文が
添えられている。
真相?それどころか。最初から最後まで、小川さんのめくるめく幻惑世界と迷宮に
私はずっと驚きっぱなしだ。


ところで、これって曲のタイトルなんですね。。