すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

まほろ市の殺人 秋 闇雲A子と憂鬱刑事  (ねこ4匹)

f:id:yukiaya1031jp:20210527103923j:plain

麻耶雄嵩著。祥伝社文庫

「早く乗せて!」非番の刑事天城憂の車に、女性が乗り込んで来た。真幌市在住の有名なミステリー作家闇雲A子だった。この春から十一件も連続して殺人事件が発生している。その「真幌キラー」をA子は追っていたのだ。死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。犬のぬいぐるみ、闘牛の置物、角材…。真幌市を恐怖のどん底に陥れる殺人鬼の正体とは。(裏表紙引用)
21.5.27再読書き直し。
 
「幻想都市の四季」シリーズ。真幌市を舞台に、4人のミステリ作家さんが共作?したもの。「秋」は我らの麻耶さんが担当。
 
130ページ弱の中編だが、そこはやはりそれでも麻耶さん。らしさがギュッと詰まっている。詰まりすぎかもしれない。ネーミングセンスの独特さだけでも世界観が確立できていると言ってもいい。(闇雲A子はもとより、助手の見処少年、メランコ刑事、ボイン課長など)タイトルに挙がっている鬱刑事はあまり活躍しなかったが、ただでさえキャラが渋滞しているところへ怪盗なんちゃらという闇雲A子の奇抜キャラが吹き飛ぶすごいの出てきた。お前が解決するんかーい!
 
A子の役に立たなさっぷりも面白いが、捨て駒のようにされる見処少年、心に何かを抱えている主人公、そして何より一番不思議な立ち位置として登場していたあの人の正体。なにがなにやら分からんし、真幌キラーの解決には全然なっていないが、なんだかんだ面白いので良しとする。