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放浪探偵と七つの殺人 (ねこ3.8匹)

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歌野晶午著。講談社文庫。

大学の男子寮で殺人事件が発生。犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生には
アリバイがあったーー「有罪としての不在」や、”水難”とは何かを示すか見みわめると、
犯人がわかる?「水難の夜」など、さすらいの名探偵、信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を
見事な推理で解決する七つの傑作短編。(裏表紙引用)


歌野さんの場合、いつも「奇想天外」なのは構成であってそれは常に「読者」へ向けた奇想天外さ、
だよなあ、と思ったのは別に本書が退屈だったからではありません。事件の当事者になったつもりで
読めばどこにでもありそうな普通の大事件、だったりしませんか。あ、しませんかすいません。
それを取っ払った末に色を付けようとしたのがこの信濃譲二の存在だったりするのでしょうか。
でもその信濃譲二が気に入らなかった場合、私はどうすればいいのでしょう?
ああ、気になる。『冬でも黄色いタンクトップにビーチサンダル』が気になる。
『自分のライブが近づけば顔を出す』姑息さが気になる。
『髭が食べるのに邪魔そう』なムダなワイルドさが気になる。
『警察なんかにこんな貴重な情報教えてやるもんか』というノンモラルさが気に触る。
なんだかんだ言って、自分は「キャラ重視です」とまでは言わないが
キャラの魅力のあるなしが減点対象になる事は否定出来ない。
逆に言えば、それだけが惜しかったのだ。
面白かった。。。凄く。。。なんて事を言えばもしかして鍋や石が飛んで来たり
『見損なったわ、ゆきあやさんたら!』と今まで築いて来た信頼関係がモロくも崩れ去り
二周年目を待たずして『すべ猫』閉鎖なんてことには…………ことには……。くわばらくわばら。