大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。(裏表紙引用)
20.5.7再読書き直し。
題材がロックの歌詞だったり、4人もの人間が殺されたり、萌絵が殺されかけたり、萌絵が犀川さんにプロポーズしたりとなかなか気を引く回だったと思うが…全然記憶に残っていなかった。密室が萌絵と犀川さんによってあっさり見抜かれたり、専門知識がないと分かるわけないものだったりとちょっと厳しいものはあるにはあったが。このあたりから、「動機不明」色が強くなってきたのかなあ。全く理解できない犯人の思考回路だった。これを作品では「不快な真相」と表現しているが。
密室の専門性はともかく、犯人の心理を掘り下げて犯行を行うあたり見事だった。ちゃんと本格ミステリしてる(遠い目)。。特に三番目の犯行については綱渡りながらも考え抜かれているなと。密室の盲点を突いてる。死体の腹部についていた謎のアルファベット?も理由付けがあって凄い。前作のようなクローズドサークル風味のほうが好きだけど、これはこれで味がある。