講談社文庫。
SFミステリ。
これ、かなり設定も面白いんだけど。シリーズ化してほしいです。どう説明していいか難しいので、
背表紙より引用。「彼(みはる)が相づちを打つだけで、人々が勝手に記憶の糸を辿り、隠された
意外な真相へと導かれる」そういう能力を持った主人公にからむミステリです。
どういうことかというと、例えば。
「子供が勝手にテーブルの魚を食べたのできつく叱った。それ以来仲が気まずくなっている」という
過去がある人物がいるとします。その人がみはるにその話をするだけで、「実は犯人は時々勝手に入って来るねこだった」という真実を理論的に回想してしまうわけです。
本人には何のメリットもない能力ですね。
まあ、そんなみはるが日々知り合う人々と会話をしていってその行為を繰り返して行く、そんなストーリーなんですが。それとは別で、長編としての謎を解いていくんです。
なかなかないんじゃないですかね、こういうアイデアは。
もっとタイトルひねったら良かったのになあ。初めて読んだ西澤作品だけど、読む前は「そのままじゃん。面白くなさそ~」って思っちゃったもん。