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ドッペルゲンガー宮 <あかずの扉>研究会流氷館へ (ねこ4匹)

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霧舎巧著。講談社文庫。第12回受賞作。


北澤大学新入生のぼく=二本松翔は、サークル<あかずの扉>研究会に入会した。自称名探偵、
特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー六人が、尖塔の屹立する奇怪な洋館「流氷館」を訪れた時、
恐るべき惨劇の幕が開く。閉鎖状況での連続殺人と驚愕の大トリック!(裏表紙引用)


再読、再考。

私ごひいきの鳴海雄一郎が活躍する「あかずの扉」シリーズ。これはもう私好きで好きで好きで
初読時は「これだ!求めていたものはここにあった!!」と大暴れしたものです。
今、冷静に読むと初読時とは明らかに印象が大幅に変わり、それが良かったのか悪かったのか。
大きな変化は、あれほど鳴海命だった自分が、「な、なんでこんな演技過剰の目立ちたがり屋男
好きだったんだろう?」という風に変化し、代わりに「ご、後動さん!冷静でクールで聡明で
す、すてき!!」と軽々に自分の趣旨を翻してしまった事です。。いやほんと、なんで
後動さんの魅力に気付かなかったんだろう?そんな1年や2年で好みって変わるか?
となると自動的に、結構好感を持っていたユイご贔屓の後動さんであるからして、
「ユイめ。私の後動さんになれなれしくするんじゃないわよっ」という嫉妬も爆発する。。。
この気持ちをもてあましたまま、いつ再読するかわからない「カレイドスコープ島」に
思いを馳せる。。。

さて、ミステリとしてー。
いや、犯人どころか事件の推移すらも覚えてなかったもんで楽しめましたよ。
しかしやっぱり今まで考えて溜めていたものを一気に放出した感じで、なんとか
纏めてはいるけれど詰め込み過ぎていっぱいいっぱい。そして今読むと、最近自分が敬遠している
トリックがメインなんですね^^;あいたた。

あ、いや、でも、このシリーズの魅力ってやっぱり「本格推理好き」を喜ばそうとする
懇親会のような気が。キャラが「それはアンフェアだ」とか言っちゃってんの。これだけだと
「現実と小説を混同すんな!」とキレる(蘭子しかり)んですが、それを救っているのがこの
ダブル名探偵の人徳であって、自分のポリシーや他人への優しさ(深く傷ついた経験のある
人間だからこそ)、それが全てとは言わないけれどやっぱりそこなんですね。

早く「アボトーシス荘」出ないかな。再読じゃどうしても物足りないよぅ。