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木製の王子  (ねこ4匹)

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麻耶雄嵩著。講談社文庫。

比叡山の麓に隠棲する白樫家で殺人事件が起きた。被害者は一族の若嫁・晃佳。犯人は生首をピアノの上に飾り、一族の証である指環を持ち去っていた。京都の出版社に勤める如月烏有の同僚・安城則定が所持する同じデザインの指輪との関係は? 容疑者全員に分単位の緻密なアリバイが存在する傑作ミステリー。(裏表紙引用)
21.5.4再読書き直し。
 
木更津悠也シリーズ。「翼ある闇」「夏と冬の奏鳴曲」「痾」、本書、の順番で読まないとワケが分からないと思われるので注意。この作品に関しては、メルカトルが出てこないというのと、「分単位のアリバイ」が理由で再読に二の足を踏んでいたのだが…。
思っていた以上のカルトでカオスな麻耶ワールドが展開されていた。ぐったり。まあ、簡単にまとめちゃうと宗教なんだけど。。そういう観念プラス麻耶世界の狂気が合わさっているものだから、いつも以上に麻耶ワールド(笑)。
 
時系列がいまいちヘタクソなので理解するのに時間がかかるのと、烏有の後輩・安城が完全に物語の主導権を握ってしまって誰が主人公だかわからないのが玉に瑕だが、ファンではない読者だったらもう投げ出してるだろうな、と思えるぐらい徹底して麻耶さんの趣味が発揮されているのが微笑ましい。分単位のアリバイとかまともに読んじゃいないが、一族にまつわる恐ろしい秘密と新生児の正体にひたすらゾワゾワ。
 
それにしても、めでたいはずの烏有と桐璃の〇〇。ファンとしては嬉しい展開なのだが、今の自分が読むと烏有の勝手さにイライラしてしまった。。もともと自分は烏有って好きなキャラだったんだっけ?それさえ忘れた。