すべてが猫になる

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痾 (ねこ4.2匹)

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麻耶雄嵩著。講談社文庫。

忌まわしい和音島の殺人事件の後遺症で記憶喪失になった如月烏有は、記憶をとり戻そうと寺社に連続放火。すると焼け跡からは焼死体が発見される。その彼のもとに「今度は何処に火をつけるつもりかい?」と書かれた手紙が届く。烏有は連続放火殺人犯なのか?名探偵メルカトル鮎が真相に迫る新本格ミステリ。(裏表紙引用)
 
20.5.26再読書き直し。
 
15年前に一度読んだきりなので、全く内容を覚えていなかった。おかげで楽しめたが。結構好きな作品だったのだがね。シリーズ第3弾だけど時系列は「夏ソナ」→本書→「翼ある闇」ですな。本書は1、2弾を読んでいないと(特に2)サッパリ分からないので注意。
 
本書は放火魔・烏有が和音島での事件の記憶を完全に失っているという状況。なぜ自分は放火をしてしまうのか?恋人だという桐璃とどう付き合っていけばいいのか?そして取材先で知り合った画家の卵・わぴ子への想い。桐璃が拾ってきた猫・たいもんへの虐待。とにかくうだうだじめじめとした烏有の懊悩ばかりが描かれる。放火した先で必ず誰かの他殺体が発見されるという大きな謎と、メルカトルが捜査する香山武男殺人事件がどう関わってくるのかが重要なストーリー。
 
※シリーズネタバレ
 
 
 
 
 
 
「あなたも名探偵!ミステリクイズ60問」やクイーン国名シリーズなどをプレゼントし、能にも積極的に烏有を連れて行くメルカトル…。烏有を見初めているらしいのだが、彼、殺人犯だからね…。桐璃が和音島での事件のことを烏有に話すけど、桐璃が二人目?の桐璃だということや烏有が実行犯だったことは全く語らない。正当防衛殺人のことだけ打ち明けられかなり苦悩する烏有だが、もっと凄いことやってきてるからね、君…。わぴ子がニューハーフだったことや香山の息子だったことなど、烏有やメルの推理シーンはないもののなかなかいい真相だったと思う。
 
しかし藤岡の過去の告白ってモロ烏有の過去だったのだが、それに対しての説明もない。ほんとによくわからない世界観だが惹かれるなあ。。桐璃の妊娠が判明して終わるけど、この先どうにかなったんだっけ。麻耶作品じゃなかったら絶対嫌いなキャラクターなんだけどな、烏有も桐璃も。