すべてが猫になる

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百万の手 (ねこ4匹)

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畠中恵著。創元推理文庫

14歳の夏貴は、息子に性的な依存をする母と二人暮らし。ある日、親友の正哉が家族もろとも
彼の自宅で焼死してしまう。傷つく夏貴に、形見の携帯電話から正哉の声がーー。彼は
あの火事は何者かの陰謀だと言う。親友の死の真相を探る夏貴。そして、夏貴の前に
母の婚約者である東が現れた。


ぐおおおおお!!!好きだぁ!!!つぼだあ!!!!
初めて読んだ畠中さんです。初畠中氏が現代小説……ファンの方からすれば邪道かもしれません。
本書も、ミステリーとしてはかなり肩すかしだし凄いテーマを扱っているのに
(ネタバレになるので内緒)掘り下げ切っていない。わかってます、わかってますとも。
でも、好きだーーー。気に入ったんだーーー。

夏貴と正哉の友情、夏貴と東の心の距離が縮まって行く様、母親の息子への執着の不気味さ、
突然中盤から展開される目が点な事実、もう夢中で読みましたよ。
実際、テンポがいい、と言うより「大雑把」と言っていいくらい設定を「切り捨て」て行くので
「正哉との感動のラストは~?」「母親の存在は~?」「和美ちゃん出ないの!?」と
物足りない面も多々ございますが、そこはそれ。後半も「犯人とトリック単純すぎー」
「夏貴と東ひっかかりすぎー」「大人向けなのにあの問題端折りすぎー」と様々な問題点
ございますが(けなしたいのか^^;)。あとがきでは「続編が期待出来る」と前向きな
評価をされていますが、そうかそういう褒め方もあるよね、と。(私には「物足りない」と
聞こえた)

でもいいんです、文章とか若さとか(過呼吸っていうのがこれまた)、綺麗なもんじゃないですか。
ゆきあやこういうのが好きなんです。ベタでいいんです。
でも世間様との折り合いをつけて、本音では4.5匹なんですがちょっと気を使って
下げてみました^^;。実際、心の奥底から気に入ったものに関しては
「自分が気に入ったんだ!文句あるか!批判なんて聞こえないぞ!」と上から物言いな態度で
採点するので、そう考えると冷静になれる程度のお気に入り度ではある、とも言えますかねえ。