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初恋よ、さよならのキスをしよう (ねこ3.7匹)

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樋口有介著。創元推理文庫

柚木草平シリーズ第2弾。
娘と訪れたスキー場で、柚木草平は高校時代の初恋の女性・卯月実可子と二十年ぶりに出会う。
以前と変わらない美貌のまま、雑貨店オーナーとして活躍していた彼女が、再開後まもなく
何者かに殺害される。実可子の姪から事件の調査を依頼された柚木は、高校の同級生を順に
訪ねていくが……。(裏表紙引用)


台詞回しやクールかつ優しい文章、哀愁漂う疲れた雰囲気はとことん私好みでナイスだが、
相変わらず柚木草平には惹かれない。現実ならば彼がモテる事も理解できるが、
柚木が一人称の小説とあっては彼の内面、素行があからさまに読者にわかってしまうので、
「小説のキャラ」としてなぜ読者にモテるのか理解し難いものがあったりする。
私の結論としてだが、人気の秘密はなんだかんだ言って女性とベッドインはしない点が
外せないんじゃないだろうか。ここで、
「抱くのは本気で愛した女だけ、実は優しくって口で言うほど軽い男性ではないのよね。」
という法則が出来上がる。まるでシティーハンター・冴羽遼だ。
安心したまえ、今後も彼は結局別れた妻以外の女性を落とせないだろうから。(いいのか、
続き読んでないのにこんな事書いて^^;)

そんな事よりも、やっぱり面白いなあ。綺麗すぎず、適度にドライ。殺風景だけど
人情味がある。何より台詞回しがカッコいい。
今回ちょっと残念だったのは、前作でも感じた
「タイトルは素敵なんだけど内容とうまい着地を決めている気がしない」点かな。
特に今回、被害者の実可子に好感を持てるかどうかが
このタイトルが胸に染みるかどうかの分かれ目だと思う。
彼女は全女性の敵、のように描かれているが実際生きて動く彼女に触れられなかったので、
(悪意ある女性の第三者の評価はアテにならない。男性の評価はもっとアテにならない)
「柚木一人称」の弱点を感じたのですわ。。

(あれま。気に入ったのに長所を挙げられなかったぞ^^;)