すべてが猫になる

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レイクサイド (ねこ4.3匹)

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東野圭吾著。文春文庫。

藤間夫妻の姫神湖の別荘に、子供の受験勉強合宿の為に集まった4組の家族。並木も妻の連れ子で
ある息子の為に赴いたが、並木の愛人である高階英里子が現れた。やがて並木の留守中に起きた
殺人事件。加害者は並木の妻、美菜子で、被害者の高階は撲殺されていた。そして彼らは、
子供の将来を守る為に一致団結し美菜子の犯行を隠匿しようと画策するーーー。

もう東野圭吾というだけで読む前からねこ4匹だ。(むちゃな)
有名でない作品までちゃんと面白いんだからやっぱり凄い。

受験戦争。この世は学歴が全てであり社会は常に競争だと子供に洗脳する親。
かと言って自由時間に活発に遊ばない子供を心配する。その陰で当の大人達は一体
何をやっているのだか。
物語としては非常に感動したが、もし現実であれば私はこのラストシーンを賛美はしない。
「大人」にとっては人の親となるべき通過点だったろうが、
元々こんな事件は起こるべきではなかっただろう。エゴに凝り固まった親の頭を冷却させる程の
ツケとして受けるべき罰だが、子供は子供で人格を持った一人の人間だ。
要は誰でも自分の子供を愛しているのだろう。
賛美はしないが私も人の子、これぐらいは思っても許して欲しい。
本書にあるのは、血の繋がりだけが絶対性を持つのか?だろうか。
もし我が身に降りかかった時にこの自分のアイデンティティが揺れるのであれば、
ラストのこのメッセージは自分には届いていない。