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ラインの虜囚 (ねこ3.7匹)

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田中芳樹著。講談社ミステリーランド

カナダの少女コリンヌは、父の訃報を祖父に知らせるためパリにやって来た。そこで冷たく
迎えられた祖父に、自分が孫だと言う証拠を見せるため「双角獣の塔に幽閉されている仮面の男は
誰かを探れ」という試練を課された。偶然出会った剣士モントラシェ、天才作家デュマ、
海賊王ラフィットと共に、コリンヌの冒険が始まった。


今まで読んだミステリーランドになかった、西洋史もの。しかも、実在の人物をふんだんに登場させて
オリジナルの冒険活劇に仕上げています。物語の出だし、冒険の序章、なかなかいいスタートを
切って、コリンヌの可愛らしさもそこそこに、わくわくさせる冒険活劇と言って良いでしょう。

はっきり言って、読みやすい。今までで最短時間で読み終わったのはもちろん面白さも
手伝ったのですが、登場人物が「お、知ってるぞ、久しぶり~v」という親しみやすさも
影響していたかも。
そう、田中さんがあとがきで挙げられていた「子供の頃熱中していた本」が、自分のそれと
見事に半分以上かぶっていたのに「やっぱりな」と思うと同時に「名作と比べちゃ気の毒だよね」と
優しい気持ち?で読めた事も。

ラストシーンは腹裏なく面白かった。素敵だったと心から思う。
だけど、この最終章はやっぱり素晴らしい本編の後日談であればこそ良かった。
文量だろうか。こんな壮大なエンディングならば、もっとコリンヌ自身の活躍が見たかったし、
(ワンピースだって、ルフィ自身が活躍してこそ周りの仲間が映えている)
仲間の確執や裏切り、ナンセンスな事件、もっともっと色々なエピソードを詰め込んで欲しかった。
これは、シリーズが5巻くらい続いた後に用意されるクライマックスではないか?
どうもベテランのやっつけ仕事的な印象が残ったのは残念。

しかーし、面白かったのよ。良かったのよ。好きだったのよ。
でも、これより面白い児童文学っていっぱいあるな、と思っただけ。

ゆきあやの好み位置的にはココ↓

 1 『黄金蝶ひとり』 太田忠司
 2 『銃とチョコレート』  乙一
 3 『神様ゲーム』  麻耶雄嵩
 4 『ほうかご探偵隊』  倉知淳
 5 『怪盗グリフィン、絶対絶命』  法月綸太郎 (AAランク)

 6 『びっくり館の殺人』  綾辻行人
☆7 『ラインの虜囚』  田中芳樹  (Aランク)

 8 『くらのかみ』  小野不由美  (Bランク)

 9 『子どもの王様』  殊能将之  (………)