講談社文庫。1995年『このミステリーがすごい』第1位作品。
DISC-1
『密室症候群』
海外ホラーとミステリの融合だろうか。心理療法士の男が担当する自閉症の少年と母親。
執筆する密室ものミステリの挿入。奇抜な設定に驚いている暇はなかった。驚愕のオチが
鳥肌を立たせてくれる。
『禍なるかな、いま笑う死者よ』
これは素晴らしい。落ちぶれた、老いたコメディアンの狂気と理不尽な目に遭うプロデューサーの
底の知れない恐怖。「笑い」を恐怖にすり替えるアイデアと、この先の読めない展開には脱帽。
『いいニュース、悪いニュース』
これもお気に入り。なんかのパロディかと思うようなご都合主義的ベタなストーリー。
おそろしくB級で、ブラックユーモアが効き過ぎ。最高。
『音のかたち』
音響怪談というらしい(笑)。ちょっと私にはちんぷんかんぷん^^;;
なんだろう、この不気味さは。。意味のわからない専門用語が恐怖を引き立ててる感じ。
『解決ドミノ倒し』
出たー!インチキ海外古典!^^ちょっとしつこすぎない?と思ってたら
オチでやられた。なんだかわかんないけど興奮しました。
DISC-2
『「あなたが目撃者です」』
これ好き!大好きです!構成が凝っていて変わっていて、それでいてストーリーとオチは
シンプルにがつん、と来る。
『「私が犯人だ」』
って、言ってるのに警察に無視される男。どうですかこの発想!透明人間のように、
身体がすり抜けるとか見えてないとかじゃなく、肩とか叩かれたりしてるんですよ?
面白過ぎます。
オチ、もう少し面白いかと思ったけど^^;すいません。
『蒐集の鬼』
SPレコード蒐集家の男のお話。いやもう、コレクターって面白いです。この必死さと
脳内心理が^^;取り憑かれてる感じ。本人はそれが好きで好きで、生き甲斐を感じて
幸せを自覚してるんだけど、はたから見ると実際は物に振り回されてて、その様が非常に
うまく描けてるなあ、と。ちょっと哀れだなあ、このラストは。笑っちゃったけど^^;
『<世界劇場>の鼓動』
…………えと、すいません、これは意味がさっぱり^^;;;
音楽を題材にした短編集という事で、狙いはあるはずなんですがイラストもないし
イメージが音でも映像でも浮かびそこなった感じです。。
『不在のお茶会』
アリス登場^^;これも合わないなあ。どうでもいい…。『私とは何か』なんて。
以上。
これと似た風合いの『マニアックス』の最初3編と、コレのラスト2編を入れ替えて
『ミステリックス』みたいな題で編集したいなあ。家宝になるのに。え、それじゃ意味ない?^^;
LPアルバムに「流れ」があるように、これ1冊で一つのミステリーズという
音楽短編集というコンセプトなんですかね。
自分は、ひとつひとつのお話が凄く面白かったのでもうなんでもいいや、面白いからいいやという
感じで。ファンの方には申し訳ないですね^^;
いや~、しかしいいわあ、山口さんの短編。国内でこんな作家がいるなんて稀有ですよね。