すべてが猫になる

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親不孝通りディテクティブ (ねこ3.8匹)

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北森鴻著。講談社文庫。

舞台は博多。長浜の屋台でラーメン&バーを経営するテッキと、結婚相談所の相談員キュータの
腐れ縁「鴨ネギコンビ」が繰り広げる痛快ハードボイルド短編集。


現在、冴さんの所で絶賛お薦め中の本書。いつも切れ味鋭い書評を書かれ良書を見極める目は
鷹よりも鋭い姉貴の激プッシュ本とあれば読まずにいられようか。いや、ない。(反語)
実は胸の内を明かすと私、北森さんは今まで少し苦手でした。しかし、何でも1冊2冊で見切っては
いけませんね。3冊目は当たるというジンクスに従うとやはり当たっちゃいますね。


姉貴の思うつぼというか、気に入っちゃいました、これ。キャラの勝利というか、
このコンビと彼らを取り巻く仲間達が最高によろしい。どちらかと言えば、
主導権を握っている感じのテッキより、トラブルメーカー役?のキュータが好み。
三枚目なんですけど、人情に熱くて、いざという時は持ち前の
腕っ節で決める時は決める。行動力もあって、ちょっと女好きで。

ピーーーーーーーーーーー(ネタバレ防止)……にまで手を染めながら、にくったらしくないのは
登場人物の魅力と、文章の粋の良さ。(真保さんの『奪取』を思い出したなあ。。)
自分にはきっとこういう人生とは縁がないが、人間ってやっぱ情がないとだめだ。
小説では描く事はちゃんと描いた方がいい。
それでひき立つもの、気付くものが必ずある。世界は違うけれど、不思議な親近感に
思わず共鳴してしまった。

シリーズ化して欲しいよー、と読みながら悶えていたけれど、
最終話まで読んでこれで満足という思いもかけない気分に。
最近こういう体裁のもの多いのかな?
そこはそれ、とにかくこれ1冊で、一つの素敵な物語だ。やってくれるね北森さん。

冴さん、またしてもありがとうございました^^。
私からも本書は皆さんに激おすすめです。