すべてが猫になる

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悪霊の館 (ねこ3.7匹)

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講談社文庫。

二階堂蘭子シリーズ第4弾(文庫)。
不気味な逆五芒星の中央に捧げられた二重鍵密室の首なし死体。邸内を徘徊する西洋甲冑姿の亡霊。
資産家一族の住む大邸宅で、黒魔術のミサを思わせる血みどろの惨劇が続く。当主はなぜ警察の介入を拒むのか。そして、「呪われた遺言」に隠された真実を追う名探偵・蘭子にもついに殺人者の魔の手が
迫る!(裏表紙引用)


とってもとっても長い。ロング。長過ぎる。
いきなりの感想がそれですいません、だって本当に読了まで長い道のりだったんですもの。
設定は「犬神家の一族」そのまんま。老婆の臨終のシーン、衝撃の遺言、という
事件の発端となる場面までもが正史を彷彿とさせます。それがまた、家族にとって都合の
悪い展開になって憎しみ合いののしり合いそして不可思議かつ不気味な殺人事件に発展!
いやあ、垂涎ものですな。なんつったって私、こういうのが一番好きですからな。

怪しげなプロローグと、謎の挿話もいい雰囲気出してます。
メインのストーリーとの絡みを考えると、私なんかはやっぱり長さが気になってしまうのですが。
拷問シーンとかはあまり具体的なものは読みたくないっていうのが本音。

今回は特に、緻密なプロットで凝っていて読ませてくれました。
特に、終盤のあの大量○○シーンは……!!本作のハイライトでしょうね。
毎回派手なラストシーンで魅せてくれる本シリーズですが、今回がある意味一番派手だったのでは
ないでしょうか。この後どうするんだろう?と心配になったほどで。

そして、オカルトの要素をふんだんに盛り込みながらもミステリーとしての
論理はそちらに逃げない、というのが二階堂さんの良さだと思って来ました。
しかし、今回は!!
どうにでも解釈のしようはあるのですが、(精神的にどうとか)
二階堂さんの解説をカンニングしたところによると
「完璧に仕上がりすぎた」ので(おいおいおい!!)こういうオカルティックな
エンディングで味付けをしてみた、とかそういう事だそうで。
まあ、別に面白いですしちょっとしたどんでん返し(ホラー的な)的完結で、
小説としてのクオリティを下げるものではない、と私は納得しました。

うん、本作が今までで一番良かった。
これなら、名作との呼び声高い「人狼城の恐怖」も期待は高まるばかりでございます。