すべてが猫になる

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そして五人がいなくなる (ねこ4.1匹)

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はやみねかおる著。講談社文庫。

夢水清志郎事件ノート」シリーズ第1弾。

亜衣たち岩崎家の隣に、「名探偵(自称)」の夢水清志郎が引っ越して来た!
興味津々で清志郎接触する亜衣たちは、彼の変人ぶりに翻弄されながらも
名探偵として、その頭脳と優しい人柄(嘘つきだけど)に惹かれて行く。
時は夏休み。清志郎を引き連れて、巨大遊園地「オムラ・アミューズメント・パーク」へ
繰り出した彼女たち。そこのイベントであるマジックショーで現れた謎の「伯爵」。
そしてその怪人は、ショーの真っ最中に1人の観客の少女と共に消失してしまう。
やがて伯爵から「あと4人人間をこのパークから消してみせる」という犯行予告が!
清志郎は俄然張り切るがーー。


大ヒーーーーッット!
先に読んだ虹北恭助くんシリーズも良かったが、本作で完全にはやみねさんのとりこと
なりました。ありがとう講談社青い鳥文庫じゃちょっと買いにくかったんです。。

物語の出だしから面白い、というのはかなりポイントが高い。普段そう簡単に読むのをやめたりは
しないが、やっぱり「最後に盛り上がってどどーん」「中盤からたたみかける展開にずきゅん」
よりは、「冒頭から惹き付けられて最後まで読む手が止まらない」方がいいに決まっている。
まあ小説というのは全体的な流れなので一概にそればっかりとは言えないが、
最初から面白いというのは単純に純粋に嬉しいのだ。

子供向けなので、ミステリとしては易しいレベルだが、それでいいと思う。ていうか、
そうあるべきだ。変に小難しくて子供が本の楽しさを体感できなくても困る。
本を好きになれるスイッチが入ればそれでいいんだ。自分がそうだったじゃないか。

キャラが魅力なのはもちろんの事、大人でも楽しめるような「つぼ」も随所に
散りばめられているのがいい。小さな謎と、ユーモアと、優しさと。
清志郎がちょっと嘘つきだったり(罪のない)、刑事がちょっと単細胞だったり、
悪役がちょっと優しかったり。
真実というのは表面だけでは測れないし、物事を見極める「目」というのは
だからこそ養われる。はやみねさんの小説ではそれが的確でいてシンプルだ。

本が好きで、ミステリが好きで、これを面白くないと言う人が果たしているだろうか。
この懐かしさと温かさと溢れんばかりのドキドキを。