講談社。
５編収録のOL奮闘短編集。
よくぞ男性がここまで描いてくれた！と思える傑作ぞろい。
「ヒロくん」では年下女性上司に反感を持つ男性社員との軋轢、上司になった事の
職場での疎外感を感じ、家庭では妻より夫の方が年収が低く、家族には子供をせかされ、、
というバトルを。
「マンション」では３０才を越えて分譲マンション購入を実現した独身の友人の影響を受け
自分も資産とお城と安息の地に憧れてマンション購入を計画。しかし、守るものが出来た時、
彼女は、、。
「ガール」では若い頃は人並みはずれた容姿でもてはやされ得をしてきた２０代後半の
OL２人と、職場の３６歳の「みっちゃん」の若作りパワーと。
もうあの頃とは違う！別の道もあったのでは、、と「堅実な」女性、「派手な」女性との
間で揺れる女心を描く。
「ワーキング・マザー」は、シングルマザーだけど子供を精一杯愛し、仕事にも手を抜かない、
育児を言い訳にしない、というパワフルOLさんのお話。
「一回り」では会社に一回り年下のピチピチ「イケメン」が配属に！彼を狙う若いOLたち。
彼は私のもの、職権乱用で彼を守る女性のどたばたストーリー。
どれが面白かったかと言うと全部なんですよ。
言ってみればワンパターン。流れはだいたい読めて来る。でもパターンの安心というのも
あるわけで。
主人公の女性が全て自分と年齢がメガヒットしているので、うざいくらいに身につまされる。。
実際私は組織とは縁のない職種なので、純然たるOLさんというものの価値観はよくわからない。
結婚か仕事か恋愛か、それしかないのかなあ、、とは正直なところで、もっと視野を広げれば
いいのになあ、楽なのになあ、しんどいだろうなあ、とはもっと正直なナマの感想で。
でもそれでいてコッチだって決して楽ばかりじゃないんだよ、一緒なんだよ、っていうのは
もっともっと胸の奥まで共感できたりするもんなのだ。
それでも、いつまでも「ガール」である事、年齢も職種も独身も既婚も性格も容姿も財産も越えて、
それだけは壁がないんだよなあ。そこまで書き込んでくれてありがとう、奥田さんよ。
だからこそ女同士の友情ってかけがえのない宝だ。
どんなに愛する男性でも、一緒にセールに行って「買いすぎたぁ！でももう一軒！」なんて
許されない。ホテルのケーキバイキングなんて誘ってもノってくれない。
今月の運勢に（ばからしくとも）一喜一憂してたら冷めた目で見られるし
上司や新人の愚痴で朝まで飲み明かしたり
ちょっと気になるイケメンの話でこっそり盛り上がったり「男なんて大嫌いだばかやろー」と
泣きながら抱き合ったり、、なんて女同士じゃないと絶対出来ないハッピーだ。
ブログでも、加賀刑事最高～～～！！タックに萌え～～～！！新人作家にイケメン登場～～～！！
なんて騒げるのはやっぱり女同士＾＾。正直とても楽しい。女同士ってくだらなくて
ミーハーでうるさいけれど、少なくとも私はこれもないと生きて行けない。
社会に出ても、家庭を築いても、いつだって女は簡単にブルーになれる。
これぐらいなら大目に見て下さいね、男性方＾＾。
