すべてが猫になる

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黒の貴婦人 (ねこ3.8匹)

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幻冬舎文庫

タックシリーズ短編集。
本作は、少なくとも同シリーズの角川文庫「彼女が死んだ夜」から「依存」までを
読了された方が手をつけるべき作品。ミステリとして読む分には楽しめると思うが、キャラの
プロフィールはともかく人間関係の推移については初心者にはかなり不親切、というか
わからないだろうこれ、というか勿体ない結果になります。


楽しみすぎて延ばし延ばしにして本棚であっためていたこの本。評価はなんとなく
知ってはいたので気負わず、を目標に手をつけました。
想像していたよりはタック達の関係に微妙な進展が見え、作品1本1本としても
それなりに楽しめました。
ウサコの一人称にも慣れ、親しみを覚えて来た感じです。あぁ、なぜこれを
「解体諸因」からやってくれなかったんだ!そうしたらこんなに遅れをとることは
きっとなかったのに。。。

読者に一番近い位置にいるのは間違いなくウサコだ。タックなら付き合いたいし、←(^^;)
タカチなら憧れるし、ボアン先輩ならお友達になりたい対象だもの。
ウサコ曰く、お互いの事情を詮索しないというと聞こえはいいし格好もいいが、
それで成り立つ真の友情があるのか、というと凡人の自分は首をかしげてしまう。
詮索と、特定の人間への気がかりと理解したいという気持ちは全く別物だ。

お互いに干渉しない、素敵なキャンパス4人組に憧れる時期はもう私には
過ぎてしまったと思う。
今後は、多少不格好でもお互いが真の友情と愛へと発展していく物語が読みたい。
殻を破り、衝突し、乗り越えて行く青春物語だ。泣いてもっと本音で語れ。きっと名作になる。
それが王子様であるタックのイメージダウンという結果となっても私は構わない。