すべてが猫になる

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邪魔 (ねこ3.8匹)

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奥田英朗著。講談社文庫。

所轄勤務の警部補・九野薫は7年前に妻を交通事故で亡くした。それ以来、不眠に
悩まされる日々を送る。現在、同僚である花村の素行調査に明け暮れ、女がらみで
逆恨みを受けていた。そんな折に発生した株式会社ハイテックス放火事件。九野は
経理課長である及川に疑いを向ける。
及川の妻・恭子は子供二人に恵まれ、東京郊外の建売り住宅に住む平凡な主婦。
スーパーのパート歴は1年。平穏な毎日だったが、夫の勤務先の放火事件を機に
生活は蝕まれて行く。やがて、スーパー本社に勤めるパートの女性から雇用契約についての
会社の実態を入れ知恵されるがーーー。


ううむ。面白くなかったわけでもなし、「最悪」に比べて見劣りがするとまでは
思わないが微妙な読後感。
先日の私の熱い「最悪」感想を読まれた方は、私のこのテンションの低さに
驚かれるかもしれない。
でも、仕方ないです。私ゃ「最悪」の方が何十倍も面白かったのですよ。

3人の人間がふとしたきっかけで「堕ちて行く」様を描いたという点では
共通しているし、本当に前作と比べて何が違うのか、と言われても困ってしまう。
となると、ヤクザや刑事や放火事件、それらの題材が好みではなかった、
としか考えられない。不倫、防火、オヤジ狩り。どうも「犯罪小説としての犯罪」の
規模が小さく、その上登場人物に入り込めなかったため人間ドラマとしても
受け付けなかった。

パートの雇用改善の章はとても面白かったが、共感できない事に変わりはない。
こりゃ、最初っからわかりそうなもんでしょ。流される、ほだされる、こういう
人間像は「生き生きしている」場面ほどいらいらする。
結末と合わせて、「OUT」(桐野夏生)に酷似したものも感じた。

要は、クライマックス次第で私の気持ちはここまで違ってくるということです。
結局、こういう物語は「ベタ」で「わかりやすく」て「ご都合主義」なぐらいが
自分にはちょうどいいんだな、という結論。

でも点数高いな^^;