すべてが猫になる

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ある閉ざされた雪の山荘で (ねこ4匹)

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講談社文庫。


オーディションに合格した劇団員たち男女7名は、演出家・東郷の招待を受け
乗鞍高原のペンションに集合した。彼ら以外に何者もおらず、殺人劇の
舞台稽古が始まる。設定は、「豪雪に襲われた孤立した山荘」。外界と
コンタクトを取ればオーディションは失格扱いとなる。
そして、一人、また一人と仲間が消えて行く。最初は芝居と考えていた彼らだが、
ささいな事から疑惑が発生する。これは本当に芝居なのだろうか!?


東野版、クローズドサークルミステリですね。もう感服です。
「大きな」設定はいかにもクリスティの某有名作でありがちですが
外界から遮断する、というシチュエーションにこんな発想があったのかと
これだけでもう降参ですよ。

終盤で明かされる、読者への大掛かりなトリックと、
舞台である山荘の秘密。「驚愕の終幕が読者を待っている」、またまた、そんな
ご大層な。っって、意外な真相というのは決して意外な犯人を指すとは限らない。
この舞台装置がこれだなんて、誰が想像つきますか。あっぱれ。

動機が非常に不愉快だったために、私は比べるなら「仮面山荘殺人事件」の方が
ストーリーとしては好きかもしれない。
気の毒だけどよくわからない心理だなあ、と思った末に、
「あ、そうか!だからこの真相なんだ!」と考えるに至った時は苦笑してしまった。

ということは完璧じゃないか、これ。