すべてが猫になる

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黄金蝶ひとり (ねこ4.3匹)

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太田忠司著。講談社ミステリーランド


五年生の夏休み、両親がキプロスへ旅行することになった。洸(タケシ)は
両親のすすめで記憶に残っていない祖父・白木義明の住む茶木村で過ごすことに。
アサギマダラという黄金の蝶、鍾乳洞、山を守る「テツ」。祖父の家で
犬達の世話をしながら日々を過ごす洸だが、ある日突然祖父が行方不明になった。
村に隠されている財宝と関係があるのだろうか。その折、村では前村長の不良息子が
茶木村の観光地化計画を持って何かたくらんでいるようだがーー。


これはいい!!たいりょうさんのブログで高評価だったので、ちょうど
入手する機会に恵まれ読んでみたけれどこれは大ヒットだ。


プロローグからして子憎たらしい謎掛けでストーリーを読む気にさせるのがまず
傑作だし、その文章の通りこれを読んだ少年少女達はこれから始まる冒険譚に
胸をわくわくさせるだろう。

ちょっとマイペースでぶっ飛んでいるが愛情たっぷりの両親もいいし、
村まで一人で訪れた洸の前に現れる赤帽子黄帽子青帽子の青年がとにかく
笑わせてくれる。彼らがほんの脇役であることに後で驚いたくらいだ。

そして、動物への愛情と困難へ立ち向かう勇気、知らない土地で
「人と出会う」ことの素晴らしさ。
ストーリーは全体的に「易しい」が、ドキドキさせるような謎が
クライマックスで用意されている。
特に、エピローグには感動した。作者の仕掛けと、そのドラマティックな展開にである。


内容的に男の子向きかもしれないが、「私が少女だった頃」でも
本書をわくわくして読んでいる気がする。
いい仕事をするじゃないか、ミステリーランド